※ 料理価格は2021年12月時点でのものです。最新情報は店でご確認ください。

札幌の狸小路近くにあるビル、少しディープ感の漂うその地下に「sapporo washu dokoro 林家（はやしや）」はひっそりと店を構えています。

店内はカウンターにテーブルが2卓とシンプルな造り、控えめの照明で落ち着いた雰囲気になっています。

店主の林大輔さんは飲食店など数々の職を経験した上で、2013年にここ「林家」を開店しました。

店名に「sapporo washu dokoro」とあるように “日本のお酒” にこだわった「和酒BAR」です。
特に焼酎は独自のネットワークを通じて入手しており、“ここでしか飲めない酒” が数多くそろっています。

芋焼酎といえば鹿児島。札幌出身のご主人も鹿児島の枕崎に在住経験を持ち、札幌に戻ってからも度々訪れているとのこと。

そして枕崎といえば「カツオ」、「鰹節」は生産量日本一を誇ることで知られます。ご主人はそんな枕崎で「カツオマイスター」の資格まで取っており、店で出す「酒肴」にもその知識と経験が活かされています。

おすすめの酒肴は「店主のおまかせ珍味盛り」（900円税込）。

この日の珍味は「カツオと玉ねぎ・生姜の煮付け」「アイスプラント・ミツバのおひたし」「きゅうりの漬物」「砂肝」「生ハムの角切り」。素材は日によって変わりますが、どれもが「鰹ダシ」を効かせた味付けで旨味がたっぷり。日本酒にも焼酎にもよく合います。

そして外せない一品が「枕崎産カツオ刺」（900円）。
一本釣りで釣り上げたカツオを船上で活き〆（血抜き）して急速冷凍されているので、鮮度を落とさずに札幌に送られてきます。

それは鮮やかな身色を見れば一目瞭然でしょう。刺身は背と腹側の両方を盛り合わせ、薬味には独自ブレンドの醤油・わさびに、鹿児島坊津（ぼうのつ）の海水で作った自家製塩が添えられます。
部位の違いに薬味を組み合わせてそれぞれの味を楽しめますが、特に塩で食べるカツオはその旨味が引き出されるので一番のおすすめです。

ご主人の親類が北海道の常呂町で農園を営んでおり、そこから送ってもらうジャガイモもこの店ならではの食材です。
品種は「トヨシロ」。誰もが知る大手菓子メーカーがポッテトチップスや人気スナックに使っているジャガイモで、フライ料理には特に向いているとされています。
これを事前に仕込みを施し “二度揚げ” にすることが「林家のフライドポテト」のこだわりで、そのカリッと揚がった食感と豊かに広がる甘味は、あえて手間をかけて作ったからこその味わいです。

お酒は国産ものを都度仕入れているのでグランドメニューはありません。
日本酒は純米酒から純米大吟醸まで厳選（850円〜）、焼酎も各種用意されていますが、特に芋焼酎は他の店では飲めないものがいろいろ揃っています（700円〜）。
限定酒や見たこともない（であろう）銘柄も多いので、ご主人に好みを伝えて選んでもらうとよいでしょう。

この日は「さつま白波」のビンテージ、蔵の専用貯蔵庫で瓶内熟成酒がありました。
瓶には「平成24年2月」の記載があり、他では飲めない希少酒です。ここでも “無くなれば終わり” ということですが、その熟成によるまろやかな口当たりが印象的でした。

日本全国を旅したという話題豊富なご主人との会話を楽しみながら、厳選の和酒とこだわりの酒肴をゆっくり味わう。ここ「sapporo washu dokoro 林家」は、まさにそんな店です。