翠明庵
希少な蕎麦粉で打つ十割そばの店
北海道は全国一のソバ産地であり、札幌にもその蕎麦粉を使う蕎麦店が数多くあります。
その中から今回は、西区の西野9条という札幌の中心部からは離れた場所にありながら札幌のそば好きが通う名店、「翠明庵(すいめいあん)」をご紹介しましょう。
翠明庵では、北海道黒松内産「奈川在来(ながわざいらい)」の蕎麦粉を使って十割そばを手打ちしています。
奈川在来とは、信州長野の奈川村(現在は松本市に合併)地区で自生していた、品種改良などがなされていない言わば “野生のソバ” 。1990年代の終わり頃に、台風などの影響もあり栽培が途絶えてしまいましが、その復活を願う人々の努力で一部の栽培が再開され、今では北海道でも少量ながら生産されるようになっています。
そんな希少な蕎麦粉で打ったそばを食べたくて、地元のそば好きが連日この店を訪れているのです。
まずは「せいろ」でその蕎麦を味わいましょう。
香り高く、喉越しのよい細めのそばは、これがつなぎ無しの十割手打ちであることに驚かされます。
太くてボソボソ、すぐに切れてしまう、そんな手打ちそばとは一線を画しています。
「鴨せいろ」は青森産の本鴨が使われ、その旨みを存分に味わえます。
札幌の寒い夜には、「鴨鍋」(鴨鍋・先付・せいろのセットで4,000円、要予約2名〜)でゆっくり温まるのもおすすめです。
日本酒は宮城の銘酒「伯楽星(はくらくせい)」。今や酒通垂涎の人気ブランドですが、この店では醸造元である宮城県川崎町の新澤醸造店に専用のタンクを確保し専用ブランドのお酒を造っています。
純米吟醸酒の「翠」はここでしか飲めない限定新酒(当記事執筆時)。透明感がありながら米の旨味もしっかり感じられるお酒で、ついつい杯を重ねてしまいます。
料理の邪魔をせず、むしろその味を引き立ててくれる “究極の食中酒”。ラベルも女将の手書きで、まさに「翠明庵オリジナル」の一本です。
おつまみには宮古島の塩が添えられる「天ぷら」や新鮮な「お造り」などが用意されています。店内に掲示される「おすすめボード」も要チェックです。
持ち帰りもできる「サバ押寿司」(土日限定 1本1,500円)もおすすめ。サバの締め方が抜群で日本酒にもよく合います。
このように、翠明庵では希少な蕎麦粉による見事な手打ちそば、他では飲めない銘酒、それによく合う酒肴などが楽しめます。そして何より和服が似合う、にこやかな女将の接客の良さが、この店までわざわざ足を延ばす理由になることでしょう。
その他の写真
店データ
- 店名
- 翠明庵
- 住所
- 札幌市西区西野9条4丁目8-17
- 電話番号
- 011-664-7238
- 営業時間
- 日〜水曜日11:30〜14:00、金土は18:00〜21:00もあり
- 定休日
- 木曜日
- アクセス
- 地下鉄東西線発寒南駅よりバス13分(平和の滝入口行き〜西野小学校前下車徒歩2分)
- 予算
- 1〜2,000円