心空

名店「竹やぶ」のDNAを受け継ぐ蕎麦店

心空

今回ご紹介する店は、そば好きなら知らぬ者のいないほどの名店「竹やぶ」のDNAを受けた蕎麦店「心空(しんくう)」です。

竹やぶとは千葉県柏市に店を構える手打ちそばの店で、現在その弟子たちが東京を中心に多数存在し、今では「竹やぶ系」とまで呼ばれています。
古くは千寿竹やぶ吟八亭やざ和。そして三合菴織田(閉店)などがこの店から巣立って有名店となり、その後もじゅうさん玉笑東白庵かりべなど、錚々たる人気店を輩出しています。

しかし札幌をはじめ北海道に竹やぶ系の蕎麦店はほとんど見当たらず、古くから釧路に本店をもつ「東家」などを中心とした独自の蕎麦文化が展開されてきました。
十数年前、東京の三合菴で修行経験のある職人が札幌で「艸菴(そうあん)」という蕎麦店を開いたときには、その竹やぶ系らしい江戸前のそばは注目を集めたものです。
しかしその艸菴も5年ほど前に閉店、札幌は再び “竹やぶ無縁の地” になっていました。

「心空」の店内

「心空」の店内

そんな札幌に平成29年(2017年)、大いなる志を抱いた若きそば職人が一軒の蕎麦店をオープンしました。それが今回ご紹介する「心空」です。

千葉県出身のご主人は、竹やぶ系でも番頭格ともいえる千寿竹やぶで修行、さらには前出の艸菴でも働いたことがあるという完全な竹やぶ系の職人です。
北海道で江戸前のそばを味わってもらおう、北海道にはあまり根付いていない “蕎麦前” の文化を少しでも広めたい」そんな気持ちから札幌への移住を決意したとのこと。

その「そば」は主に北海道産のそば粉を使って香り高く打ち上げますが、特徴的なのは「そばつゆ」。
北海道の(蕎麦店の)そばつゆは、やや甘口の傾向にありますが、心空のそばつゆは一口含むだけで、その江戸前らしい「辛口」のかえしと本格的な出汁の味を感じることができます。

香り高い「もりそば」

香り高い「もりそば」

その江戸前を味わうには「もりそば」(700円、以下全て税込)がおすすめ。
最初はそばつゆには薬味を入れず、そばにも少しだけつけて、その辛さと旨みを感じてみてください。
「あらびきそば」(800円)はさらに蕎麦粉感があり、その分香りもしっかり立ってくるのでもりそばとの食べ比べも楽しいでしょう。

「あらびきそば」もおすすめ

「あらびきそば」もおすすめ

そばに使う種物の具材はそれぞれにこだわったものを使用。特に滝川産の鴨を使った「鴨そば」(1,900円)は肉を別皿で提供しています。
一般的な「鴨せいろ」などでは、温かいつけ汁に鴨肉も入っていますが、この店の鴨は単なるそばの具材としてではなく、料理として自信の一品なのです。

名物「鴨の相焼き」

名物「鴨の相焼き」

それゆえ鴨皿は単品でも「鴨の相焼き」(1,200円)としてメニューに並ぶほど。
実はこれ、ご主人が修行した千寿竹やぶの名物料理でもあります。

その千寿竹やぶ同様に、鴨肉には定番の長ネギには「千住葱」を使っています。
「千住葱」は東京足立区の千住河原町で、長ネギしか扱わない市場「山柏青果物市場」で取引されるブランド葱。その甘さが特徴で、特に醤油系の味付けにはよく合うので、東京の老舗すき焼き店などでも使われている高級野菜です。
わざわざこれを北海道まで取り寄せるのは、ご主人の「江戸前」に対するこだわりといえるでしょう。

「蕎麦前」も歓迎

「蕎麦前」も歓迎

そんな料理まで用意される心空では、もちろん「蕎麦前」も大歓迎
日本酒も燗向き冷酒に分けて用意しています。
銘柄は順次入れ替わりますが、辛口、甘口や淡麗、濃醇などタイプの異なるものを揃えているので、ご主人に好みを言えば選んでもらえます。

「板わさ」などの酒肴も

「板わさ」などの酒肴も

酒肴も、酒飲みの好みをよく知るラインアップ。
そば屋定番の「板わさ」(600円)や「だし巻き」(600円)はもちろん、自家製の「豆腐」(400円)、道南の豆腐店から取り寄せる「あげ焼き」(600円)など。

穴子の入った「天ぷら盛り」

穴子の入った「天ぷら盛り」

「天ぷら盛り」(1,000円)は野菜が中心ですが、「穴子」や「きす」の良いものが入れば天ぷらのメニューが増えます。

ご主人は食材にこだわり、足繁く市場に食材を仕入れに行っています。
そこで見つけたおすすめ品や、限定の一品料理などは手書きのメニューに並びます。
蕎麦前を楽しむときは要チェックです。

珍味「ほやの塩辛」

限定の珍味「ほやの塩辛」

店はご主人一人で営業しており、ランチタイムには混雑状態になってしまうことが多いので、比較的ゆっくりと(カウンターで一人飲みも)できるディナータイムの利用がおすすめです。

心空
名店「竹やぶ」のDNAを受け継ぐ蕎麦店

その他の写真

店データ

店名
蕎麦 心空 Webサイト
住所
札幌市中央区北1条西19-2-17 表参道明豊ビル1F
電話番号
011-213-8118
営業時間
11:30〜15:00、17:00〜21:00(L.O.)
定休日
水曜日、第3木曜日
アクセス
地下鉄東西線西18丁目駅 徒歩5分
予算
1〜2,000円

おすすめメニュー

  • もりそば:700円(税込)
  • 鴨そば:1,900円
  • 板わさ:600円
  • 自家製豆腐:400円
  • 豆腐のあげ焼き:600円
  • 鴨の相焼き:1,200円