すすきのの少し南寄りエリアに店を構える「寿し ひでたか」。

店内は檜一枚板を使ったカウンターの８席。札幌でも流行の “2部制” を取らないことに「ゆっくりと食事を楽しんでほしい」という気遣いが感じられます。

店主は札幌を代表する名店「すし善」の出身。その技を引き継ぎ、自己の創意も重ねた寿司を握り、ミシュランガイドでも星を獲得するという評価も得ています。

メニューは「おまかせ」のみで、おつまみ＋握りの構成。
早速ご紹介しましょう。

生ビールは「サッポロクラシック」。

塩と醤油、そして山葵にわかめが置かれ、都度おすすめの食べ方（塩・醤油・そのまま等）を教えてくれます。

一品目は「ほっけ」。

珍しいほっけの刺身を昆布で締めて、お酒との相性を高めています。

続いて「さんま」。

“走り” で脂乗りもあっさりな分、昆布締めがよく合います。

「北海しまえび」

ミソ感のあるしまえびを炙ることで旨味が倍増！

これはもうお酒！
メニューもありますが、ご主人に「おまかせ」すればおすすめの日本酒を選んでくれます。

一杯目は「二世古（ニセコ）」。北海道の酒造好適米「彗星」で醸した特別純米酒。
スッキリした味わいが海鮮にもよく合います。

「あわび」

酒蒸しにして肝（右側）とともに。蒸し加減が絶妙です。

「うに」

小鉢で “ミニうに丼” 風に。シャリとのマッチングが見事。

「大助（おおすけ）」

寝かせて味を熟成、スジコ・山わさびを添えて。

「きんき」

店主曰く「ようやく入った（入荷）今網走にはキンキの釣船は一艘のみなので」。
炙ることで焼き魚のような脂の乗りが際立ちます。

「甘えび」

ミソを集めて殻と煮た自家製のミソが絶品で、お酒にピッタリ！

「毛がに」

小鉢で “ミニミニかに丼” 風に。

「煮だこ」

丁寧な仕込みの感じられる柔らかさ。自慢の “つめ”（たれ） で。

お酒の2杯目は福井の人気酒「黒龍」。

飲食店限定酒の「大吟醸 CRYSTAL DRAGON（クリスタルドラゴン）」を選んでくれました。
その名のとおり “透明感” のある口当たりでキレも楽しめるお酒です。

ここから後半の「握り」に入ります。

「ガリ」は “すし善流”、都度スライスして提供。

味も甘さと辛味のバランスが良く、口直しにもアテにもなります。

一貫目は「まつかわ」。

1週間寝かせ熟成、シャリに合う食感と旨味を引き出しています。

「そい」

北海道ならではの寿司タネで、上品な味わい。

「新いか」

季節感のある寿司タネで、スミイカらしい歯切れの良さがシャリともよく合います。

「車海老」

茹でたてを握ってくれて、甘みがじんわり。

「にしん」

丁寧に小骨を処理しておりその食感と旨味を味わえます。

「ぶり」

1週間寝かせて “漬け” に。脂の乗りを “旨み” に昇華しています。

ここでお酒を青森の「田酒」に。

その深い味わいは「ぶり」の脂はもちろん、この後に続いた「本まぐろ」にもしっかり対応してくれました。

「こはだ」

熟成感のある小肌をしっかり締めています。

「まぐろ赤身漬け」

まぐろならではの香りも感じさせ、シャリとのマッチングも見事。

「大とろ漬け」

脂と醤油の旨味が同化して、その味わいが深まります。もはやスペシャリテ！

「いくら」

この時期ならではの “新物” とのことで、卵の旨味が味わえます。

「穴子」

何と “羽田産”！まさに江戸前の穴子です。「卸業者との関係性で希少物も回してもらっている」とのこと。

締めは「玉子」。

芝エビに山芋で“江戸前” 作りのカステラタイプに。

以上がこの日の「おまかせ」ひと通りです。

おつまみは10品。全体に派手さを強調せず、見た目はシンプルながら道産の食材にこだわり、それぞれに仕事を施しその味わいを引き出しています。お酒との相性も見事です！

寿司は握り10貫＋いくら小鉢＋玉子の計12種類。こちらは全国から旬の魚介を取り寄せており、江戸前の仕事を施しています。

とても充実した内容で、道外から訪問しても “北海道も江戸前も” 十分に味わうことができるでしょう。

シャリは道産米の「ゆきさやか」を使います。
赤酢と米酢を独自にブレンド、米酢の酸味は控えめに赤酢のコクを加えどの寿司タネとも好相性。粒立ちが良く、口でのほどけ加減も握り寿司に向いたシャリに仕上げています。

店主は気さくで話題も豊富。適度なユーモアも加えつつ料理の説明も上手いので、高級店ながら気楽に食事とお酒を楽しむことができます。

さすがはミシュランガイドの星を獲得している店といえるでしょう。