北海道の日本酒とその酒蔵、札幌で飲めるおすすめ店もご紹介

北海道の日本酒とその酒蔵、札幌で飲めるおすすめ店もご紹介

北海道は“食材の王国”とも言われます。周囲全てを海に囲まれ豊富に獲れる海産物や、気温の寒暖差を活かした野菜類などは北海道の食文化を特徴づけるものです。
そして食事に欠かせないお酒、特に「日本酒」については年々その評価が高まっています。

今回はそんな北海道の酒造りと酒蔵、そこで醸される日本酒(道産酒)の特徴などについてまとめてみましょう。
札幌で「道産酒」を飲める店もご紹介しますので参考にしてください。

北海道の酒造り

日本酒の酒蔵といえば江戸時代の創業は当たり前、最古の蔵は何と平安時代まで遡る(茨城県の須藤本家)歴史を持つほどです。しかし北海道の酒造りは開拓史以降に盛んになったこともあって、現存する最古の「日本清酒(千歳鶴)」でも明治5年(1872年)の創業と、その歴史は比較的新しいものになります。

日本酒は一般的に「寒造り」といって、冷涼な冬の気候を利用して醸造するものなので、北海道の環境は(極寒の場所・時期を除いて)酒造りには決して不向きではありません。
しかし、酒造りに大きなウエイトを占める「米(酒造好適米)」の栽培にはあまり適していないという問題がありました。米にとって北海道は寒すぎたのです。
そのため酒造米を本州など遠く離れた産地から購入せざるを得ず、コスト的(全体の4割を占めるともされます)に大きなハンデを背負っていました。

そんな要因もあり、北海道の日本酒は決して高い評価を得ていたとはいえませんでした。
しかし近年は全体的な気候変化(温暖傾向)に加え、酒造米の研究者や農家の懸命な努力により「吟風(ぎんぷう)」や「彗星(すいせい)」「きたしずく」などの高品質な地元酒造米が開発され、酒造りの条件が整ってきました(※)。

(※)食用米についても同様で、今や「ゆめぴりか」や「ななつぼし」などが全国でもトップクラスのおいしい米としての評価を受けていることは周知の通りです。

川の水

米とともに重要な原料が「水」。
北海道の水質は全国的にも定評のあるところで、毎年発表される「水質が最も良好な河川」の2019年度(発表)では全国から17の河川が選ばれていますが、北海道がそのうちの4河川を占めています
これら河川の伏流水や各地の湧水などに恵まれた北海道の水質は、まさに “お墨付き” といえ、これが酒造りにおける北海道の 強み になっています。

「米」と「水」が揃えば残るは「人」、そう、酒造りの「技」です。
全国的には比較的歴史が浅い北海道の酒蔵では古い体質に縛られず、新たな取り組みにも積極的にチャレンジをしてきました。
旭川の男山酒造が昭和50年代から世界的な食品コンクールとして知られる「モンドセレクション」に出品、見事金賞を獲得(以来継続)したことや、最近では最古参の日本清酒が20代の女性杜氏を採用したことなどはその一例でしょう。

そんなチャレンジ精神が技の向上に寄与したことは明らかで、「米」「水」「人」の揃った北海道の酒造りが新しい段階を迎えていることは間違いなさそうです。

北海道の酒蔵紹介

ここでは北海道にある12の酒蔵を全てご紹介します。各蔵の簡単な歴史にエピソードなどを交えながら、その酒造りやお酒そのものの特徴をまとめてみましょう。

日本清酒(札幌市)「千歳鶴」

千歳鶴の工場

千歳鶴の工場

北海道の日本酒の中で「千歳鶴」は最もメジャーなブランドではないでしょうか。良くも悪くも北海道の日本酒のイメージを作り上げてきた銘柄ということができます。
醸すは明治5年創業(1872年)の「日本清酒」。酒蔵の名を知らずとも「千歳鶴」の名は知っているという方がほとんどでしょう。

日本清酒は北海道最大の酒造会社であり、札幌市内にある唯一の酒蔵です。
酒蔵は、酒造りのための広大な土地や清冽な仕込み水を必要とします。そのため、大都市の中心部に工場を置くことは少ないのですが、日本清酒は札幌のほぼ真ん中に蔵を構えています。

その理由は「仕込み水」にあります。
札幌南部の山々を源とし、札幌の中心部を流れる豊平川。その伏流水は “中硬水” で、酒造りに最適なバランスを持つ水質です。千歳鶴にはこの水が最適と判断、コストよりこの水を優先して現在の地に蔵を定めたということです。

千歳鶴といえば一般酒のイメージが強く、全盛期には全国4000蔵の中でトップ10に入るほどの大手蔵となったのも、その一般酒が売れに売れたからでした。
冒頭に “良くも悪くも” と記したのは、一般酒だけが「千歳鶴=北海道の代表酒」のイメージを作り上げてしまった部分もあるということです。

しかしこの酒蔵の真骨頂は、より高級な「特定名称酒」にあると言ってもよいでしょう。
特に「吟醸酒系」は他の酒と製造現場を別にするほどのこだわりで醸され、毎年日本酒の品質を競う全国新酒鑑評会では、北海道内では断トツの金賞受賞実績を誇っています。

中でも大吟醸酒「吉翔」はその頂点に君臨する日本酒で、香り、キレ、旨み、全てがバランスよく調和しており、酒造りの技をまざまざと感じさせてくれます。
一般酒のイメージが強くて “飲まず嫌い” なら、ぜひ一度「吉翔」など吟醸系のお酒を味わってみてください。千歳鶴の概念が全く変わってしまうことでしょう。

札幌市内には酒蔵の直営店(最終章で紹介)があるので、そこで飲み比べなども楽しめます。

・社名:日本清酒株式会社
・住所:札幌市中央区南3条東5丁目2
公式ホームページ

国稀酒造(増毛町)「国稀」

「国稀」の酒蔵

「国稀」の酒蔵

「国稀酒造(くにまれしゅぞう)」は北海道の北西部、日本海に面した増毛町に蔵を構え、「日本国内で最北端の酒蔵」として知られています。創業は明治15年(1882年)。長らく「丸一本間」の称号で酒造りを行い、現在の「国稀酒造」に改称したのは平成13年(2001年)のことでした。

暑寒別岳連峰を源とする清冽な仕込み水により、“スッキリ辛口で飲みやすい” ことが「国稀」の特徴ともなっています。
増毛は毎年「増毛えびまつり(春の味まつり、秋まつりもあり)」が開催されるほど、ボタンエビや甘エビの漁獲高が日本でもトップクラス。これらの魚介類によく合うお酒が醸されるようになったのは必然でもあったのでしょう。
そんな海鮮ものを増毛の国稀で味わってみるのもよいものです。

かつては留萌本線があり、JRでの訪問が可能でしたが、平成28年(2016年)に廃線となりました。
札幌からは沿岸バス(株)による「高速乗合バス 特急はぼろ号」(要予約)があるので、こちらを利用するとよいでしょう。

・社名:国稀酒造株式会社
・住所:増毛郡増毛町稲葉町1-17
公式ホームページ

男山酒造(旭川市)「男山」

男山酒造

男山酒造

居酒屋などで、「男山」というお酒を目にすることがよくあるかもしれません。
それもそのはず「男山」といえば全国各地、例えば青森の「陸奥男山」や新潟の「根知男山」など20種類ほどの「◯◯男山」があるからです。

その理由は諸説ありますが、江戸時代に伊丹の酒屋「木綿屋山本本家」が男山八幡宮(現在の石清水八幡宮)に因んで命名酒が由来とされます。それが官用酒となり、歌舞伎に登場したり浮世絵に描かれたりして大きな人気を博したことから全国各地の酒蔵がそれにあやかって「◯◯男山」と名乗りだしたとされています。

その中でも木綿屋山本本家を正当に受け継いだのは、ここ旭川の男山酒造であるとされ、旭川男山とか北海男山ではなく、「男山」という名前になっていることがそれを証明しています(諸説あり)。

地元の名峰、大雪山の伏流水を仕込み水とした男山の酒は “キリッとした淡麗辛口” が特徴で、昭和52年(1977年)に世界的な食品コンクールである「モンドセレクション」に初出品して金賞を受賞しています。日本酒として国内はもちろん、世界初となる快挙でした。

・社名:男山株式会社
・住所:旭川市永山2条7丁目
公式ホームページ

高砂酒造(旭川市)「国士無双」

高砂酒造の「国士無双」

高砂酒造の「国士無双」

旭川で男山酒造と並ぶ酒蔵が「高砂酒造」です。
前身である小檜山酒造店が創業したのが明治32年(1899年)。昭和に入り地元の酒造会社と合併して現在の高砂酒造となりました。その後、昭和50年(1975年)に発売した「国士無双」が大ヒット、蔵の代表ブランドとなっています。

平成2年(1990年)には「雪氷室搾り」を発表。極寒期の旭川で雪と氷のみで「雪氷室」(アイスドーム)を作り、その中の温度・湿度が酒造りに最適になることを利用して、“吊り下げた酒袋から一滴一滴落ちる雫を集める” というこだわりの酒造りが注目を集めました。さらに「雪中貯蔵」では、出来上がった酒をそのまま貯蔵せず、タンクごと外に出し雪に埋めて冬の間低温熟成させる手法を行います。これにより、角が取れたまろやかで落ち着きのある味と香りのお酒に仕上がります。

周辺を大雪連峰や4本の河川に囲まれる旭川は、水資源の豊富な土地です。
高砂酒造は4河川のひとつ「忠別川」の伏流水を仕込み水に使っています。この水は「軟水」なので、柔らかい「女酒」に向いているともされます。
この蔵のベストセラー「風のささやき」などは、まさにそれを具現化した一本といえるでしょう。

・社名:高砂酒造株式会社
・住所:旭川市宮下通17丁目
公式ホームページ

合同酒精(旭川市)「大雪の蔵」

大雪の蔵

出典:オエノングループHP

旭川では男山・高砂酒造と、もう一社が「地酒」を造っています。
「合同酒精」。ブランドは「大雪の蔵(たいせつのくら)」です。

合同酒精の名なら「聞いたことがある」という方が多いかもしれません。おそらくそれは「ビッグマン」や「鍛高譚」など焼酎の CMをよく見るからでしょう。
確かに合同酒精は国内焼酎メーカーの “ビッグ3” に入る大手です。そのためか「北海道」とはイメージが繋がらない方も多いでしょうが、元々焼酎用エタノールの原料(ジャガイモなど)を求めて設立した旭川工場は、合同酒精の “創業工場” になります。

現在は、大手持ち株会社「オエノンホールディングス」のグループ会社として各種の酒類等を製造販売していますが、大手企業ならではの大規模な機械化により安定した品質管理を行っていることが特徴でもあります。もちろん「人」による技もなくてはならず、両者の組み合わせによって初めて「大雪の蔵」の酒造りが完成します。

「本当にうまい北海道ならではの地酒を」。そして「真の地酒とはその土地の米と水を使うもの」というコンセプトによって “北海道産米を100%”、そして “仕込み水は大雪山系の名水” によって醸されています。
これらの思いが結実した地酒「大雪の蔵」で  “旭川を、北海道を” 感じてみてはいかがでしょうか。

・社名:合同酒精株式会社
・住所:旭川市南4条通20丁目1955
公式ホームページ

上川大雪酒造(上川町)「上川大雪」

上川大雪

上川大雪

北海道には現在12の酒蔵がありますが、最も新しい酒蔵が「上川大雪酒造」。創業は2017年(平成29年)です。

北海道上川の雄大な自然を前に「原料以上のものは造れない、ここにはそれがある」、そう考えた創業者は、“地元の原料を使っての酒造り” を決意しました。
しかし現在、新規の「日本酒」酒造免許については酒税法により制限があります(実質不可能)。
そこで三重県にあった休業中の酒蔵を北海道に移転、資金もクラウドファンディングで募るという方法で新規酒蔵が誕生したのです。

地元の人たちと共に造るお酒、大量生産ではなく「手造り小仕込み」にこだわり、醸造用のアルコールは一切加えない「全量純米酒」の酒蔵です(北海道ではここだけ)。
醸造責任者である「杜氏」には、日本酒ファンなら知る人ぞ知る川端慎治氏(金滴酒造などでも活躍)を招きました。

名杜氏による酒造りは、早くもその真価を発揮しており、現在北海道で最も注目されている酒蔵であることは間違いありません。
ぜひ、北海道そのものを表現したお酒「上川大雪」を味わってみてください。

・社名:上川大雪酒造株式会社
・住所:上川郡上川町旭町25-1
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金滴酒造(新十津川町)「金滴」

金滴酒造

金滴酒造

明治39年(1906年)創業という歴史を持つ「金滴酒造(きんてきしゅぞう)」は、大水害により全村壊滅した奈良県吉野郡十津川村が移住・開拓した地、「北海道新十津川町(その名を由来)」にあります。
その開拓の記録は、NHKのドラマ(新十津川物語)にもなったので、記憶にあるかもしれません。

大変な苦労を経て開墾したこの土地は、東に北海道の大河である石狩川、西に神の山と崇められるピンネシリに抱かれる豊潤な土地でした。これを活かし「自分たちで飲むお酒を造ろう」ということで酒造りを始めたことが、現在の金滴酒造に繋がっています。

「金滴」の名は、地元のピンネシリ山麓から出ずる砂金川の水滴に由来します。
仕込み水は同じくピンネシリ水系の徳富川(とっぷがわ)。原料米は地元の良質な酒造米を中心に使用します。
長い歴史を持つ金滴酒造ですが、近年ではスタッフも新体制となり、新たな酒造りにもチャレンジしています。

・社名:金滴酒造株式会社
・住所:樺戸郡新十津川町字中央71-7
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田中酒造(小樽市)「宝川」

田中酒造本店

田中酒造本店

北海道の歴史を語る上で欠かせない町が「小樽」です。古くから北海道有数の港湾都市として栄え、大正初期には札幌よりも多くの人口を抱える大都市でした。明治時代には多くの銀行が小樽に進出、当時北海道唯一の日本銀行が支店を出す「北のウォール街」として発展しました。
しかし時代とともに繁栄を支えた「ニシン漁」が低迷、敗戦に加えてエネルギーの主体も石炭から石油に変わるという流れの中で、小樽の街は急速に冷え込んで行きました。

衰退したかに見えた小樽の街ですが、その遺産は歴史を語る資源として存続し、今や北海道有数の観光地として人気を集めています。
かつては50軒もあったとされる小樽の酒蔵も現在では「田中酒造」ただ一軒になりましたが、本店の建物は1927年(昭和2年)築の古き良き時代の雰囲気を残し、ここもまた小樽の観光スポットになっています。

田中酒造では原料米に100%北海道産を使い、全国でも珍しい「四季醸造」を行なっています。通常日本酒は「寒仕込み」といって冬の低温環境にて醸造を行いますが、田中酒造では北海道の “夏でも冷涼な気候” を利用して一年中仕込みができます。つまり、通常は冬時期にしか飲めない搾りたての「生原酒」などを真夏にも味わえるということです。

本店のほか、JR南小樽駅近くの「亀甲蔵(きっこうぐら)」では工場見学もできるので、小樽の観光スケジュールに入れてみてはいかがでしょうか。

・社名:田中酒造株式会社
・住所:小樽市色内3丁目2-5
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二世古酒造(倶知安町)「二世古」

名水の酒「二世古」

名水の酒「二世古」

ニセコといえば観光リゾート地としてのイメージが強く、“酒蔵” とは繋がらないかもしれません。
しかしニセコ地区は名峰羊蹄山を臨み、その湧き水で有名な「京極のふきだし湧き水」をふんだんに利用できます。さらに冬には豪雪で低温発酵に適した“かまくら” 状態になるという、酒造りにはもってこいの場所ともいえるのです。

「二世古酒造」は大正5年創業という歴史を持ちながら、あまり高い評価を受けていませんでした。
それを覆すべく近年では恵まれた自然環境を活かしつつ、「加水をしない原酒だけ」という酒造りにこだわりその評価を高めてきました。
今や少量製造ということもあって、入手しにくいことがプレミアム感につながり、札幌の居酒屋でも人気のお酒になっています。

・社名:有限会社 二世古酒造
・住所:虻田郡倶知安町字旭47
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小林酒造(栗山町)「北の錦」

栗山町の「小林酒造」

栗山町の「小林酒造」

「北の錦」を醸す「小林酒造」は夕張軍栗山町に蔵を構える、創業明治11年(1878年)の老舗酒蔵です。当初は札幌で酒造りを始めましたが、豊な自然(水・空気・米など)を求めて明治33年(1900年)現在の地に移転しました。

小林酒造の酒造りは「造る人・米・水の全て北海道」を基本としています。
蔵人は大部分が地元の農家の方で夏は農業、冬は酒造りを行なっています。中には酒米を育てている蔵人もおり、生産者の「顔が見える」ことはこの蔵の大きな特徴でもあります。
さらなるこだわりは「北海道産米使用率100%」「特定名称酒(本醸造以上)100%」で、地元の「食」にマッチする酒質を追い求めていることです。

栗山の酒蔵の敷地内には北海道産の蕎麦粉と蔵の仕込み水で打った手打ちそばの店「錦水庵」があり、酒蔵見学の際には蔵出しのお酒で蕎麦前を楽しむことができます。
そして札幌には、栗山にある6つの蔵に続く7番目の蔵として「七番蔵」と命名した直営居酒屋もあり、酒蔵直送の限定酒などを味わうことができます。

・社名:小林酒造株式会社
・住所:夕張郡栗山町錦3丁目109
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福司酒造(釧路市)「福司」

福司 純米酒

福司 純米酒

釧路の酒蔵「福司酒造(ふくつかさしゅぞう)」は大正3年(1919年)「敷島商会」として創業、平成3年(1991年)にはその代表銘柄を入れた現社名に変更しています。
摩周湖や屈斜路湖などを水源とする釧路湿原などの伏流水と、9割を占める北海道米を使い、釧路の「食」に合う地元に根付いた酒造りが特徴です。

酒造りは「全量寒仕込み」。10月の下旬から4月の下旬までの冬期間に酒を醸します。
釧路という北海道内でも安定した気候によって酒蔵内は5℃を下回ることはなく、長期の低温発酵が可能です。もろみの圧搾などは機械化しているものの、大半は「手造り」ともいえる仕事が占め、精細かつ確かな技術を習得した蔵人が「福司」の味を守り続けています。

「海底力(そこぢから)」は、「釧路の酒を造ろう」との思いから誕生したお酒で、石炭採掘会社の保有する海底炭鉱の坑道で1年近く貯蔵したもの。海底の坑道ゆえ、気温などの影響を受けることなく熟成が進み、蔵出しの頃にはその味は柔らかく、まろやかな口当たりに仕上がります。

伝統的な酒造りはもちろんのこと、新たなジャンルにも積極的に取り組み、北海道産ヨーグルトのお酒「mina NICORI」を開発しました。そのネーミング通り、皆んながニッコリしてしまうような楽しい味わいで、今や年間数万本を売り上げるヒット商品になっています。

・社名:福司酒造株式会社
・住所:釧路市住吉2丁目13-23
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碓氷勝三郎商店(根室市)「北の勝」

大人気の「搾りたて」

大人気の「搾りたて」

北海道の最東端、根室市に蔵を構える「碓氷勝三郎商店(うすいかつさぶろうしょうてん)」は、明治20年(1887年)新潟から移住してきた創業者(碓氷勝三郎氏)がその地で酒造りを始め、醸した酒は「北の勝(きたのかつ)」と命名されました。

日本で最も北に位置する酒蔵が増毛の「国稀酒造」であるならば、東に位置するは同じ北海道のこの酒蔵になります。
根室の飲食店ではどこでも「北の勝」が飲めるほど地元に密着しており、全生産量の8割が根室市内と隣接する釧路地区で消費されています。

「大吟醸」や「吟醸」「本醸造」なども製造していますが、生産量が少ないため札幌の居酒屋などはあまり見かけません。多くはかつての普通酒、上撰クラスの「鳳凰」か佳撰クラスの「大海」です。
最も有名なものは毎年1月に予告無しに限定販売される「搾りたて」で、そのフルーティな香りと飲み口により発売日に完売するほどの人気になっています。

・社名:碓氷勝三郎商店
・住所:根室市常盤町1丁目6
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札幌で北海道の日本酒が飲める店

最後に、札幌で今回ご紹介した酒蔵が直営する居酒屋など、“その酒を飲むならここがおすすめ” という店をご紹介します。
札幌で道産酒を味わうなら、ぜひ訪ねてみてください。

日本清酒(千歳鶴): 直営 千歳鶴・吉翔・鶴の蔵

札幌、いや北海道を代表する酒蔵「日本清酒」が直営する居酒屋が「直営 千歳鶴」。店はすすきの中心部、アクセスに便利な場所にあります。
直営ならではの酒揃えが自慢で、店限定や時期限定の生酒をはじめ、大吟醸酒の飲み比べなど各種のお酒が豊富に用意されています。
きっと「千歳鶴ってこんなに種類があったの?」と思うことでしょう。

すすきのの「直営 千歳鶴」のほか、J R札幌に向かう地下歩行空間「チ・カ・ホ」直結のビルに千歳鶴で最高の大吟醸酒から店名を採った「吉翔」、そこから歩いて5分くらいの場所には気軽に立ち飲みが楽しめる「鶴の蔵」があります。

・店名:直営 千歳鶴
・住所:札幌市中央区南5条西3丁目 ニューススキノビル 1F
・電話番号:011-531-4788
・営業時間:17:00〜24:00(日・祝日は〜23:00)
・定休日:年末年始
・アクセス:地下鉄南北線すすきの 駅 徒歩3分
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小林酒造(北の錦):七番蔵

「北の錦」の小林酒造も札幌に直営店を出しています。
栗山町にある6つの蔵に続く “7つ目の蔵” ということで「七番蔵」と命名した直営店を札幌の狸小路近くに出店しています。

ここでは直営店限定の蔵直送酒が飲めることが特徴で、「汲みたて蔵出し 純米大吟醸・吟醸酒」や「新酒搾りたて 2年熟成」などは他の居酒屋では飲めない貴重な一杯です。
さらに酒蔵でも買えない「特約酒販店専用限定酒」などもオンリストするので、その日の日本酒メニューは必ずチェックしましょう。

・店名:七番蔵
・住所:札幌市中央区南2条西4丁目 フェアリースクエアビル1F
・電話番号:011-271-1947
・営業時間:17:00〜23:00
・定休日:日曜日(祝日の場合、翌月曜日)
・アクセス:地下鉄大通駅 徒歩約5分
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国稀:海鮮酒蔵二三一

札幌駅直通のビル「アスティ45」の地下にある「海鮮酒蔵二三一(ふみいち)」は、日本最北の酒蔵「国稀酒造」の直営店ではありませんが、増毛直送の鮮魚類と国稀酒造の特別限定酒などを楽しめるおすすめの居酒屋です。
その店名は、石狩地方と留萌地方を結ぶ国道231号線に由来します。“札幌と増毛をつなぐ”、“町と町、人と人をつなぐ” という思いが込められています。

増毛といえばボタンエビをはじめ甘エビなど海老の名産地として知られます。それを活かしたオリジナルメニューと「国稀」の留萌地域限定酒(「北のきらめき」や「暑寒美人」など)を用意しており、“地元の魚には地元のお酒” という組み合わせを楽しむことができます。

・店名:海鮮酒蔵二三一
・住所:札幌市中央区北4条西5丁目 アスティ45ビル B1F
・電話番号:011-221-0231
・営業時間:11:30〜15:00、17:00〜22:30
・定休日:日・祝日
・アクセス:JR札幌駅直結
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北海道産酒BAR かま田

北海道の日本酒は札幌の居酒屋でも飲むことができますが、「札幌で北海道酒と言ったらここ以外にはない!」とまで言われる店が「道産酒BAR かま田」です。

「世界きき酒師コンクール」で、日本酒部門と焼酎部門を共に準優勝という “初のダブル受賞” の快挙を成し遂げた鎌田孝氏が経営する日本酒バーです。
ご主人は地元のテレビをはじめ、メディアへの出演も多いので「札幌の酒好きで知らぬものはいない」とまで言われる有名人でもあります。

場所はすすきの交差点から歩いて3分以内という便利なビルの8階。
照明を落とした雰囲気たっぷりの店内は、“日本酒をゆっくり味わおう” という気にさせてくれます。
日本酒の揃えは日々新しいお酒が入ってくるので、その日のおすすめはボードに記載されます。銘柄だけでわからなければ、自分の好みをいえば店主やお店のスタッフがぴったりのお酒を選んでくれます。

北海道へのこだわりは、日本酒だけでなく料理にまで。
もちろん日本酒BARなので、数は限定されるとはいえ、ほぼ全ての食材を北海道産のもので固めています。定番メニューに加えて、その日のおすすめがボードに手書きされるので、その中から選ぶのがよいでしょう。

・店名:日本酒BAR かま田
・住所:札幌市中央区南4条西4丁目 MYプラザビル 8F
・電話番号:011-233-2321
・営業時間:18:00〜翌1:00(日・祝日は17:00〜24:00)
・定休日:無休
・アクセス:地下鉄南北線すすきの 徒歩2分
公式ホームページ