全国の日本酒を札幌で味わおう!人気の酒蔵と札幌のおすすめ店

全国の日本酒を札幌で味わおう!人気の酒蔵と札幌のおすすめ店

近年の日本酒ブームとその要因

昨今は「日本酒ブーム」とも言われています。
これは日本酒全体の売り上げが大きく伸びているというより、日本酒の “楽しみ方” が幅広くなってきたことを示しているようです。
特に「吟醸酒」とか「純米酒」など “特別名称酒”(※)とされるクラスのお酒がどんどん開発され、それを好んで味わうファンが増えているという実態の反映といえるでしょう。
(※)吟醸酒・純米酒・本醸造酒とその種類で8種類に分類される。それ以外が一般酒。

その背景には酒造メーカーである酒蔵の “世代交代” が大きな要因として存在していると思われます。
酒蔵は経営者(蔵元)と製造責任者(杜氏)が分業で酒造を行うことが一般的でした。
そのため蔵元、杜氏とも高齢までその地位にあることも少なくなかったのです。
特に杜氏の仕事については “ブラックボックス” といえる状態で、蔵元は「金は出すが口は出さない」という関係にありました。

しかし近年では、経営者の後継者(子息など)が大学や専門の施設でしっかり勉強をし、科学的な知識などを身につけて実家に戻り家業を引き継ぐというケースが見られます。
そんな動きとともに、日本酒全体に品質の“底上げ”が起きてきました。

大量生産による「一般酒」を多く販売する酒造メーカーが「大手」と呼ばれた時代にあっても、各地には “日本酒の品質の追求” を志として今で言う「特定名称酒」の醸造に励んでいた酒蔵もありました。
「越の寒梅(新潟)」は1960年代に始まった(初期)地酒ブームの先駆けとなり、その後の「菊姫(石川)」や「磯自慢(静岡)」「浦霞(宮城)」「八海山(新潟)」なども吟醸酒造りに力を入れていた酒蔵です。

これらの流れが大きく変わり出した時代は1990年代のことでした。
その先陣を切ったのは山形の「十四代」で、詳細は各酒蔵の紹介に記しますが、当時若くして蔵を継ぎ、経営と製造の責任者を兼ねる「蔵元杜氏」の走りとなりました。

この流れこそが現在の日本酒の高品質化に繋がっているのです。
その後その影響を受けた「飛露喜(ひろき、福島)」が登場、さらに「新政(秋田)」なども歴史ある酒蔵のイメージチェンジとともに商業的な成功を収めたことで注目を集めました。

そのほか、大人気となった「獺祭(だっさい、山口)」などは “杜氏がいない” 酒蔵として有名です。
杜氏の “経験値や勘” ではなく、各種の詳細なデータに基いた製造・品質の管理を行っています。
つまり「蔵元杜氏」と同様の志向であり、いかにも現代的な発想といえます。

このような過去の常識(杜氏のみが醸造の全てを仕切る)を脱却した新しい酒造りが、品質の向上に寄与したであろうことは疑いようがありません。そして高品質な日本酒を扱う酒販店や飲食店も増え、誰もがそれを気軽に味わえるようになりました。
その結果、日本酒を飲み比べて楽しむようなファンも多くなり、昨今の「日本酒ブーム」に繋がっているのでしょう。

全国を代表する酒蔵10選

今回はそのような流れを踏まえ、全国から代表的な酒蔵をご紹介します。
セレクトの基準は日本酒の専門サイトのランキング
「日本酒物語」https://www.sakeno.com/ranking/
「さけのわ」https://sakenowa.com/ranking
などを参考にして、以下の10蔵を選びました(共にベスト20に入る等)。

十四代(高木酒造 山形県):蔵元杜氏の先駆け
飛露喜(廣木酒造 福島県):無濾過生原酒で復活
獺祭(旭酒造 山口県):杜氏のいない銘酒蔵
新政(新政酒造 秋田県):新規展開で人気蔵に
作(清水清三郎商店 三重県):サミット乾杯酒で注目
鳳凰美田(小林酒造 栃木県):手造り製法にこだわり
醸し人九平次(萬乗醸造 愛知県):吟醸酒だけの限定醸造
八海山(八海山醸造 新潟県):新潟の代表銘酒
田酒(西田酒造店 青森県):田は米その旨味の酒
黒龍(黒龍酒造 福井県):大吟醸に注力した伝統蔵

全国の数ある酒蔵から選ぶにふさわしい素晴らしい日本酒を醸している蔵ばかりです。
では、順番にご紹介していきましょう。

十四代(高木酒造 山形県):蔵元杜氏の先駆け

現在、最も入手が困難な日本酒といえば「十四代」であることは論を待たないでしょう。酒好きなら誰もが耳にしたことのあるブランドながら、酒販店ではまず見かけることのないお酒です。
そしてネット上などではほとんどの商品がプレミア価格で取引されおり、中には4〜50万円という高値がついているものもあります。

なぜ十四代がそこまで人気になっているかといえば、1990年代に端を発した “地酒ブーム” の中心になった日本酒がほとんど「淡麗辛口」であったのに対し、十四代は「フルーティーでまろやかな甘みを感じさせる(芳醇旨口)」ものだったこと。
さらにはその販売が一般酒販店ではなく「限定特約店経由のみ」に絞ったことで、容易には入手がしにくい酒として(結果的に)購入意欲を駆り立てたということもあったでしょう。

十四代を醸す「高木酒造」は創業が元和元年(1615年)という、江戸初期から続く山形県内でも古参の酒蔵です。蔵を山形県の村山氏に構え、長年「朝日鷹」という銘柄の酒を販売していました。
現当主の高木顕統氏はその十五代目。大学(東京農業大学)卒業後東京で勤めに入っていましたが、平成5年(1993年)に山形に戻って家業を継ぐことになりました。
杜氏が引退するというタイミングもあり、当時としては珍しかった「蔵元杜氏(社長兼醸造責任者)」として酒を作り始めました。

そして完成された日本酒が「十四代」です。その味は単なる淡麗ではなくフルーティーな、米から醸し出された旨みと香りを漂わせる「芳醇旨口」の酒に仕上がっていました。
その味が評判となり、知名度が上がって口コミでも話題になると、一度は味わってみたいという人が一気に増えました。ところが(先に記したように)十四代は一般酒販店では販売されず、ネットで調べてもホームページもなく、大手通販サイトなどではどんどん高値で販売されるようになったのです。
そして現在では「幻の銘酒」とまでいわれ、誰もが飲みたいと思う人気銘柄の頂点にあります。

会社名:高木酒造株式会社
住所:山形県村山市大字富並1826
参考サイト

飛露喜(廣木酒造 福島県):無濾過生原酒で復活

今日の福島酒が隆盛を誇る先駆けとなったブランドが「飛露喜(ひろき)」、醸すは廣木酒造(ひろきしゅぞう)。創業は文化・文政年間(1804〜30年)という老舗ながら、一時は酒が売れず廃業も考えた時期もあったという、今となっては驚きのエピソードもある酒蔵です。

廣木酒造は元々「泉川(いずみかわ)」というブランドの酒を醸造・販売していましたが、ほぼ一般酒がその中心でした。1990年代の後半になって「純米 無濾過生原酒」という、その後の流行に先駆けた日本酒の製造を始めたことがブレイクのきっかけとなり、1999年には酒蔵の名前(廣木)を「喜びの露がほとばしる」という文字に変えた新ブランドの「飛露喜(ひろき)」を発売。
その後2000年代には「日本酒ブーム」が巻き起こることになりますが、飛露喜はまさにその先端を走りました。見事に復活を遂げたのです。

牽引役となったのが、9代目である現社長の廣木健司氏。東京の大学を卒業し、大手飲料メーカーに勤務した後の1992年に帰郷して家業を継いでいます。
それまでの安価酒中心の経営方針を “味で勝負” の方向性で模索、その結果が純米無濾過酒の「飛露喜」です。

今でこそ「無濾過生原酒」を一般にも目にするようになりましたが、その先駆けが飛露喜だったといえます。
最初の出会いは「とろり」とした口当たり、その後に「濃厚な味わいの中に甘みと複雑な旨味」を感じ、飲んでいるうちにクセになってしまう。それが純米無濾過造りによる飛露喜の印象でした。
一般的な酒造りの手法である「濾過・火入れ・割水」をしない、そのままのお酒。これこそが、廣木氏の「酒造りへの想い」を表現する方法でもあります。

純米無濾過酒の浸透が一段落すると、蔵元はその味わいをさらに普遍化させるべく「火入れ」(生酒の劣化を抑える)や「冷蔵設備」(保存性)の強化も進め、飛露喜の味を多くの人々が楽しめるようにしました。これらの努力がその後の「飛露喜ブーム」や、今日の福島酒の発展にも繋がっていきます。

今でも手に入りにくい飛露喜なので、飲食店で見つけた時は必ず注文をしましょう。次はいつ飲めるかわかりませんよ。

会社名:合資会社廣木酒造本店
住所:福島県会津坂下町字市中2番甲3574
参考サイト

獺祭(旭酒造 山口県):杜氏のいない銘酒蔵

今や押しも押されもせぬ人気銘柄である「獺祭(だっさい)」。
この少し変わったブランド名がその人気の一翼を担っていることは間違いないでしょう。
元々は酒蔵である旭酒造の所在地「玖珂郡周東町獺越(おそごえ)」に由来し、“カワウソ(獺)が捕らえた魚を岸に並べる様” を祭りに例えた「獺祭」をその酒名としたものです。

旭酒造の桜井博志社長は34歳で家業を継いだ3代目。
今でこそベテラン社長ですが、当時は「若手蔵元」の先兵でもありました。
社長就任と同時に、それまで旭酒造で醸造していた普通酒「旭富士」をやめて、純米大吟醸酒である「獺祭」のみに切り替えています。

通常ではリスクが高すぎて採用する酒蔵は皆無に近いであろう製造方針ですが、ジリ貧であった酒蔵を変えるために採った思い切った施策でした。とにかく広い市場を求めて東京、そして海外に、という追求が実を結ぶことになります。

しかし順風満帆に進んだわけではなく、平成11年(1999年)には新規事業の失敗や杜氏が不在になるという危機に直面しました。
そこで杜氏無しで、その代わり酒造りの全行程を徹底的にデータ化して蓄積、分析することで良い酒の追求を重ねたのです。
その努力が(高品質な純米大吟醸酒に特化していたことで)見事に花開き、今日の大成功に繋がっています。

会社名:旭酒造株式会社
住所:山口県岩国市周東町獺越2167-4
公式ホームページ

新政(新政酒造 秋田県):新規展開で人気蔵に

今、秋田を代表するというより、国内でも有数の人気ブランドになっている日本酒が「新政(あらまさ)」です。
新政酒造は幕末動乱期の嘉永5年(1852年)創業という歴史のある蔵で、現存する「きょうかい酵母」で最古とされる「6番酵母」発祥の酒蔵としても知られています。

それほどの伝統蔵ですが、長い歴史の中では幾度もの苦難もあり酒蔵としての変化や革新も求められました。
そんな中、平成20酒造年度(2008~2009年)から平均年齢30代前半の社員による醸造体制に変えています。当時としては思い切った変革だったでしょう。
さらに翌年は使用酵母を伝統の「6号酵母系」のみに限定し、その後は「原料米を秋田産のみ」に、さらに「全商品を純米造り」へと移行します。
そしてついに平成27年酒造年度より、天然由来の乳酸菌による「生酛系酒母」のみの酒造りとなりました。

酒の販売形態も一般的な一升瓶ではなく、品質管理の観点から四合瓶を主体として販売しています。人気商品の「No.6(ナンバーシックス)」は新政唯一の定番生酒で、本来気温の低い時期のみに出荷される生酒を貯蔵管理体制の徹底と、選別された銘酒専門店だけで扱うことにより通年の出荷を実現したものです。

「No.6」には最上級(eXcellent)の「X-Yype」、上級(Superior)の「S-Type」、そしてレギュラー(Regular)の「R-Type」というラインアップがあり、6号酵母の旨味を堪能できます。
その他、秋田酒米の個性を味わえる「火入れ」タイプである「Colors カラーズ」も人気です。

今や国内指折りの人気酒である「新政」。思い切った変革とアイデア、その徹底こそがこのブランドの人気要因といえるでしょう。

会社名:新政酒造株式会社
住所:秋田県秋田市大町6丁目2-35
公式ホームページ

作(清水清三郎商店 三重県):サミット乾杯酒で注目

「作(ざく)」は元々その造りの良さから酒通の間では密かな人気ブランドでしたが、平成28年(2016年)の「G7 伊勢志摩サミット2016」の乾杯酒として使われたことで、一躍その名を全国に知られるようになりました。

作を醸す「清水清三郎商店」は、明治2年(1869年)に現在の三重県鈴鹿市に創業。大量生産に走らず、最適と考える仕込み量での丁寧な酒造りにこだわり、高品質な日本酒を醸造し続けています。
鈴鹿は近隣に伊勢神宮があり、有名な酒米「山田錦」の親株でもある「山田穂」の発祥という土地柄、古くから酒造りの盛んな地域でした。

「作」は極上の地元産米のみを使用して、酒蔵のこだわりを集結して造られたブランドです。
その名は「飲む人やそれを提供する人たち、出会った皆で作り上げる酒」という願いを込めて名付けられています(同社ホームページより)。

伊勢志摩サミット以降もその人気だけではなく、各種酒類コンクールの常連となり、金メダルの獲得や上位入賞を果たし続けています。
これらの輝かしい実績は、酒蔵のこだわりや技術を証明するに他ならないでしょう。

会社名:清水清三郎商店
住所:三重県鈴鹿市若松東3-9-33
公式ホームページ

鳳凰美田(小林酒造 栃木県):手造り製法にこだわり

近年注目を集める度合いにおいては「鳳凰美田(ほうおうびでん)」はトップクラスの酒蔵といえるでしょう。
この酒を醸す「小林酒造」は明治5年(1872年)に創業、栃木県のかつて美田地区とされた場所に蔵を構え、ブランド名もその地名に由来しています。

美田地区は豊富な伏流水や良質の米の産地であったことから、酒造りには特に好適な場所であり、小林酒造も恵まれた環境で酒造りを続けていました。しかし戦後になると大手酒造会社の下請けが中心となり、さらに1990年代にはその仕事も激減してしまいました。

東京農業大学を卒業した5代目の小林正樹(現在は専務)氏はその状態を打開すべく、後の奥様となる麻由美さん(岩手県の酒類指導官だった)と力を合わせて吟醸酒造りに取り組みました。
そして長年の苦労の末、高い評価を受けるお酒を醸造できるようになり、現在の人気銘柄「鳳凰美田」があるのです。

その酒造りの特徴は、手作業に近い丁寧なことにあります。例えば「搾り」の工程において一般には自動圧縮機を使うのに対して、小林酒造では「舟搾り」や「しずく搾り」という手間のかかる方式でじっくり時間をかけて搾ります。
強い圧力をかけて生産性を上げるより、お酒にストレスを与えないことを優先するというこの蔵ならではのこだわりといえるでしょう。
その後、栃木市内の工業団地に新工場を新設、海外展開を見据えるなど増産体制をとっています。

会社名:小林酒造株式会社
住所:栃木県小山市卒島743-1
参考サイト

醸し人九平次(萬乗醸造 愛知県):醸すは純米の吟醸酒だけ

今、愛知県で最も人気の酒といえば「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」でしょう。
これを醸す萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)は、正保3年(1647年)に創業しました。

かつては大手蔵の下請け(桶買い)に頼った営業を行っていたこともありましたが、現在の15代目が蔵に戻ってから大量生産をやめ、手造りに近い形で造り上げた日本酒が平成9年(1997年)に発売した「醸し人九平次」でした。

平成14年(2002年)には吟醸酒以上だけの生産に絞り込み、全体の品質向上を目指しました。
さらに海外進出も果たし、平成18年(2006年)にはパリの三つ星レストランのワインリストに載るという快挙を成し遂げることになります。
「食の都」で認められた酒として輸出も開始、後年、日本酒が海外に進出する先駆けとなりました。

平成21年(2009年)には全品種を純米吟醸・純米大吟醸に絞り込み、さらなる高品質化を指向しています。
その後、自社での米作りを(借り田で)開始し、平成27年(2015年)には自社田を確保。そして同年にはブルゴーニュに醸造所を開設、ワイン造りも開始することになりました。
「米にこだわる姿勢」こそが、「ワインにおけるブドウ」と方向性を一つにした、フランスでワイン造りを始めた理由でもあります。

このように徹底的にこだわって造られた醸し人九平次は、まさに「エレガント」と呼ぶにふさわしい日本酒です。優美な香りに、気品のある甘み、旨みを持っています(ただし、冷やし過ぎは香りも味も失うのでご注意を)。

会社名:株式会社萬乗醸造
住所:愛知県名古屋市緑区大高町字西門田41
公式ホームページ

八海山(八海山醸造 新潟県):新潟の代表銘酒

「八海山(はっかいさん)」も越乃寒梅とともに初期の地酒ブームを牽引したブランドです。
八海醸造のある新潟県南魚沼地区は日本一の誉れ高い「コシヒカリ」の特定産地としても知られます。同時に豪雪地帯でもあり、その雪によって酒蔵は天然の冷蔵庫になり、雪解けの水は酒造りに適した伏流水になっていきます。

このような酒造りに恵まれた環境の元、醸される八海山の酒は新潟ならではの淡麗・辛口に仕上がります。爽やかな飲み口の中に米の旨みを残しつつ、キレが良いという酒質です。
通年販売は「普通酒・特別本醸造酒・吟醸酒・純米吟醸酒・大吟醸酒(数量限定)」というラインアップで、その他季節商品などがあります。

個々のクラスの酒をさらに高品質化するという考えで、「普通酒」でも精米歩合を吟醸酒並みの60%にしています。一般的な普通酒では75%前後であることからは驚くべき造り、まさに八海山のこだわりを感じます。

酒蔵の近くには酒蔵見学や貯蔵庫見学、食事、お土産の購入もできるテーマパークともいうべき「魚沼の里」(八海醸造公式サイトをご参照ください)があります。ここでは雪中貯蔵庫で3年をかけて熟成させた「八海山雪室貯蔵三年」や期間限定の「しぼりたて原酒」、そして魚沼地区限定発売の「魚沼で候」などが購入できます。
新潟旅行で近くに行った時には八海山の酒蔵見学やお土産購入のプランを立ててみてはいかがでしょうか。

会社名:八海醸造株式会社
住所:新潟県南魚沼市長森1051
公式ホームページ

田酒(西田酒造店 青森県):田は米その旨味の酒

青森の日本酒といえば何といっても「田酒(でんしゅ)」でしょう。
今や青森県のみならず、日本中のどこでも「ファン垂涎の的」というほどの人気となっています。

田酒を醸す西田酒造店は明治11年(1878年)創業、青森市唯一の酒蔵です。
創業以来「喜久泉」という銘柄で知られていましたが、昭和49年(1974年)に「日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい」(同社公式ホームページより)という一念から作られた “完全手作り純米酒” が「田酒」でした。

田酒の「田」とはもちろん “米の穫れる田んぼ” のこと。
その名の通り、田で育つ米だけで造り上げ、醸造用アルコールなどは一切添加しないこだわりの日本酒(純米酒)です。

昭和56年(1981年)雑誌「特選街」のうまい酒コンテストで日本一に選ばれたことをきっかけに、田酒の名は全国区になっていきました。
当時、すでに地酒として人気を集めていた「越乃寒梅」(新潟)や「浦霞」(宮城)などの後を追う形で、その後の「地酒ブーム」の一角を成しました。
今では全国でも指折りの人気地酒として確たる地位を確保し、どの飲食店でも「田酒」といえば安心して飲める日本酒として幅広い層に支持されています。

会社名:西田酒造店
住所:青森県青森市油川大浜46
公式ホームページ

黒龍(黒龍酒造 福井県):大吟醸に注力した伝統蔵

人気銘柄「黒龍」を醸す黒龍酒造は曹洞宗の大本山として知られる「永平寺」のある福井県吉田郡永平寺町に蔵を構えます。
創業は文化元年(1804年)という200年以上の歴史を誇る酒蔵です。

黒龍の名は蔵の近くを流れる九頭龍川の別名である「黒龍川」に由来しています。
酒造りの特徴は「吟醸酒」の製造に占める割合が8割を超えること。
酒米には山田錦や五百万石などの高級米、仕込み水には地元白山の伏流水を使い、なるべく機械に頼らず昔ながらの手造りによる高品質な酒造りにこだわっています。

1975年に発売した大吟醸酒「龍」は吟醸造りの特徴である芳香を放つ印象的なもので、その造りの手間によって価格も当時のお酒としては最高級にランクされるものでした。
黒龍酒造のお酒は生産量も少なく、人気になれど数量は出回らないため、今では「幻の日本酒」とまで呼ばれるようになりました。

ブランドはメインの「黒龍」のほか、創業者である石田屋二左右衛門の名を冠した「石田屋」や「黒龍 二左右衛門」、“語らいの酒”として大吟醸以外にも気軽に飲める「純米酒」を初めて世に出した「九頭龍(くずりゅう)」などもラインアップ。
どれもが、黒龍らしいきれいな、飲みやすさをその持ち味としています。

会社名:黒龍酒造株式会社
住所:福井県吉田郡永平寺町松岡春日1-38
公式ホームページ

札幌で全国の銘酒が飲める店 おすすめ3選

全国数多くの酒蔵から10蔵を厳選してご紹介しました。
どの酒蔵も文句なしのお酒を醸造しており、ぜひそれらの銘酒を味わっていただきたいものです。
そこで、サツメシとして“札幌で全国の銘酒を味わえる店”を厳選しました。

セレクトのポイントは、
「総合力」 :一軒ならここ。
「雰囲気」 :オシャレに楽しむなら。
「気軽さ」 :利用しやすい。

という3つです。これらのポイントごとに代表的な1軒ずつを選びました。
もちろん、今回ご紹介した酒蔵のお酒(のどれか)が飲めることは最低条件です。

味百仙:総合力ならナンバーワン

札幌を代表するの居酒屋が「味百仙(あじひゃくせん)」。
大手口コミサイトでも札幌の居酒屋ジャンルで堂々の第一位にランク(2021年1月現在)される名店です。
連日満席になるこの店の人気の理由はシンプル、“おいしい酒と料理” がそろっているからです。

日本酒の自慢は、まずその品ぞろえ。
今回もご紹介した希少な「十四代」や「醸し人九平次」などが普通に並びます。
さらにその保管状態の良さは特筆すべきもので、どの酒もいつでもフレッシュな状態で味わえます。

料理は北海道ならではの海鮮物を中心に、この店のオリジナル酒肴が数多く用意されています。
刺身は日替わりで旬のものが十数種並びます。迷った時には「盛り合わせ」がおすすめ、1人前2,000円程度でその日の特選鮮魚が味わえます。

そして、名物料理が「じゃがいものバター煮」(要予約)。
これこそが、「味百仙」の名を全国に轟かせた一品で、あの「美味しんぼ」にも実名で登場したほどの傑作メニューなのです。
かつお出汁にバターや塩などでジャガイモをじっくりと煮込んだもので、皮をむいたままの綺麗な形のままで煮上がりますが、力を加えればホロリと崩れる状態です。
ジャガイモの甘みにバターの風味(じゃがバターでも相性はお墨付き)が加わって、その奥から和風出汁の旨みが顔を覗かせる。そんな味わいの料理です。

その他、居酒屋の定番の「ポテトサラダ」やこれも名物のひとつ「牡蠣ゴルゴンゾーラオイル漬け」、北海道ならではの「生ラム炭焼き」なども日本酒との組み合わせでお互いの味を引き立てます。

札幌の居酒屋で “一軒を選ぶ” ということなら、どのお酒も料理も高い次元にある「総合力」でここ「味百仙」ということになるでしょう。

店名:味百仙
住所:札幌市北区北7条西4丁目 宮澤興業ビル B1F
電話番号:011-716-1000
営業時間:17:00〜24:00(土・祝前日は〜23:00)
定休日:日・祝日
アクセス:JR札幌駅北口 徒歩1分

<サツメシ紹介記事>

日本酒 みずとり:オシャレに銘酒を楽しめる

札幌で全国の日本酒を楽しめる店、2軒目は「日本酒 みずとり」です。
場所は札幌グルメエリアのひとつ南3条西3丁目、プレイタウンふじ井ビルの5階。高級BARを思わせる落ち着いた雰囲気のあるお洒落な店造りになっています。
その象徴が長いカウンター。10名はゆっくり座れるので、ご主人や店員さんとの会話を楽しみながらお酒と料理を味わえます。

日本酒は常時100種類たくさんの種類がオンリスト。ストックにはその数倍の地酒が出番を待っています。
これらのお酒はできるだけ多くの種類を楽しめるように、半合からの提供も可能です。
冷酒は酒器を移し替えて、飲み頃の温度に調節してくれます。わざわざひと手間をかけるのは、よりおいしく日本酒を味わって欲しいというこだわりです。

カウンター内の冷蔵庫や日本酒のリストには、老舗酒蔵はもちろん若手蔵人の活躍する注目の酒蔵まで全国の銘酒が揃うので、必ずや好みのお酒に出会えることでしょう。
迷ったときには、日本酒に造詣の深いご主人に相談するか「お任せ」にするのもおすすめです。自分の好みに合うお酒を選んでくれます。

料理も日本酒を楽しめるものがそろっています。
名物は「日本一卵の出し巻き」。
東京にある親子丼の超有名店で使われることでも知られるブランド卵「日本一こだわり卵」を使った一品です。キリッとした冷酒にも、体を温めてくれる燗酒にもよく合います。
その日の仕入れで変わる鮮魚は店内のボードに手書きされるのでチェックしましょう。

「日本酒 みずとり」は日本酒のそろえと料理のバランスが良く、落ち着いたお洒落な雰囲気で味わえる。そして、カウンター越しに気さくなご主人とのコミュニケーションも楽しめる。
これが今回厳選のおすすめ店として取り上げる理由です。

店名:日本酒 みずとり
住所:札幌市中央区南3条西3丁目 プレイタウンふじ井ビル 5F
電話番号:011-211-1575
営業時間:18:00〜翌1:00(L.O.0:30)
定休日:日曜日
アクセス:地下鉄南北線すすきの駅 徒歩3分
公式Facebook

<サツメシ紹介記事>

せいすスタンド:気軽なスタイルで銘酒を味わえる

今回ご紹介した酒蔵のお酒(の一部)が確実に飲める。
「せいすスタンド」はその一軒であり、おすすめに取り上げる理由です。

この店は狸小路6丁目で人気の居酒屋「酒と銀シャリ せいす」の立ち飲み姉妹店で、先に紹介した2軒とは異なる立ち飲みという営業形態です。その分、気軽に入店ができることが魅力といえるでしょう。
場所は狸小路の1丁目からすぐ近く、本店同様の店名を一文字ずつ書いた大きな暖簾が目印です。
店内は横長の「逆 J の字形」カウンターで、25名程度の収容力があります。

立ち飲みながら厳選された日本酒のそろえが特徴で、今回ご紹介の酒蔵の中では超人気銘柄の「獺祭」をはじめ、「新政」、「醸し人九平次」が常時用意されています。
一般的な銘酒居酒屋では入荷に合わせた日本酒メニューになることが多く、グランドメニュー化される銘柄に希少酒が並ぶことはほとんどありません。

これらの銘酒を6勺500円、1合800円という “均一価格” で味わえるのも大きな特徴です。
特に入手困難銘柄のひとつである「新政」は「No.6シリーズ」の「R・S・X」全てが用意されており、これを飲むためだけでも訪れる価値があるといえるでしょう。

これらと楽しむ料理でぜひおすすめしたい一品が「サバサラ」。これぞ「立ち飲み店ならでは」といえるメニューです。
鯖缶が缶ごと、上には大量の玉ねぎを乗せて登場します。こぼれ落ちるほど山盛りになった玉ねぎがその見映えを演出、ごま油とネギダレがいい味を出しています。これらを混ぜ合わせながら食べてみると、その味わいはお酒にぴったり。
鯖の缶詰に少し手を加えたものではありますが「酒によく合いコスパも抜群」という、まさに立ち飲み店であるこの店にお似合いの酒肴でもあります。

「せいすスタンド」は気軽なスタンドスタイルで銘酒が確実に飲める、アイデアあふれる酒肴類もそろったおすすめの一軒です。

店名:せいすスタンド
住所:札幌市中央区南3条西1丁目2-1 チトセビル1F
電話番号:011-206-8885(予約不可)
営業時間:15:00~翌1:00(日・祝日は~23:00)
定休日:無休
アクセス:地下鉄東西線すすきの駅 徒歩3分、大通駅 徒歩5分
公式ホームページ

<サツメシ紹介記事>

日本酒をじっくり味わおう!

全国数多くの酒蔵から10蔵を厳選し、その歴史やお酒の特徴などをご紹介しました。日本酒を知るには最適の銘柄がそろったといえるでしょう。

今回のポイントは
・1990年代から「蔵元杜氏」による新しい酒造りが始まった
・その後を追う若手蔵元(杜氏)が増えたこと
・そして日本酒全体の品質が向上したこと
になります。

そしてこれらの銘酒を札幌で味わえる店を「総合力・雰囲気・気軽さ」という3つの観点から選んだ居酒屋3軒もご紹介させていただきました。
この3軒を訪問したなら、ほとんどのおすすめ銘酒を楽しむことができるでしょう。
ぜひじっくりと、本物の日本酒の良さを味わってみてください。