“スペシャリテ” で魅了する札幌の寿司店10選!:寿司編
札幌は海鮮王国北海道を代表する都市であり、道内から集まる新鮮な食材を使った料理は今や代表的な“ご当地グルメ”です。中でも「寿司」はそのトップランナー。札幌には全国からその味を求めて集まってくるような人気店も増えています。
今回はそんな札幌の寿司店で「他では食べられない」、まさに“スペシャリテ”といえる寿司をご紹介しましょう。
鮨ノ蔵:“半田ごて” で火入れする「イカ」
一軒めは有名グルメ芸能人が訪問時「変態鮨」と評しその名を全国に知らしめた店「鮨ノ蔵(すしのくら)」です。
狸小路近くのビル地下にひっそり構えるその店はmax 5席のカウンターのみ。ゆえに席の確保は札幌の寿司店でもトップといえる困難さ!
運良く席が確保できたなら、店主の創意工夫に溢れた寿司の世界に没入できます。
中でも「イカ」はこの店の “特殊性” を象徴する一貫。
何とイカに “半田ごて” で焼きを入れるのです!
焼きイカのような香ばしさが漂い、イカ特有の甘味ともバランス。さらにシャリと一体となった全体像はまさに計算されたもの。
決して気を衒っているだけでない「変態鮨」の名が “褒め言葉” であることを痛感する瞬間です。
鮨 草平:名店直伝「あん肝奈良漬」と「おはぎ」
現代の寿司で流行している寿司に「あん肝+奈良漬」の握りがあります。
今では多くの店でも目にするようにになったこの一貫の元祖は諸説あるものの、東京四谷の「すし匠」からその名が広がったことには間違いありません。
その「すし匠」や「鮨 よしたけ」などの名店で技を修めた店主が2022年7月、縁のある札幌で「鮨 草平(そうへい)」を開ました(奥様が北海道湧別町出身)。
もちろん「あん肝奈良漬」の握りはこの店のスペシャリテ!
あん肝の濃厚な旨味と西瓜の奈良漬が持つシャープな味わいが、赤酢のシャリとともに口中に広がります。
さらにスペシャリテの一翼を担う一貫が「おはぎ」。
これも「すし匠」の名物で、上質なマグロの身にネギ・沢庵と合わせ、おはぎのようにシャリを包み込む。「トロたく」に象徴されるようにマグロと沢庵は “黄金の組み合わせ” なのです!
なお、これら2品は、現在「おまかせ」コースの後に“追加注文”として提供されています(要確認)。
鮨菜 和喜智:店名の由来「キンキ」の炙り
ミシュランガイドでも2つ星を獲得し、今や札幌を代表する寿司店の一軒となった「鮨菜 和喜智(わきち)」。
店名の由来は北海道の特産ともいえる魚「キンキ」の別名「喜知次(きちじ)」からとのこと。
それだけにこの店で握られる「キンキ」の寿司は格別です。
厳選されたキンキは脱水して熟成的な食感を引き出し、さらに皮目を炙って香ばしさを付加、その脂の旨味とともに赤酢のシャリに合わせます。
これだけのこだわりが込められたキンキの握りは他ではなかなか食べられないでしょう。
まさに “スペシャリテ” の一貫です!
まる鮨:通年トップを飾る一貫は「アジ」
すすきので30年以上の歴史を誇る「まる鮨」は現在2代目の大将が、修行先である東京江戸前寿司の技とこの店の伝統を融合させた寿司を握っています。
この店の握りの “スペシャリテ” は「アジ」。
それは「おまかせ」コース前半のおつまみに先立ち “まずは” の一貫として宴の先陣を飾ることでもそのこだわり様がわかります。
大ぶりなアジの半身を握りシャリとの間には大葉を、上には修行先で受け継いだ「ネギと生姜の薬味」を乗せてくれます。
さらにこれを半割(真ん中から2分割)にして提供する、断面が見える特別仕様です。
これぞまさに自信とこだわりの表現、その旨さに「まる鮨」の世界に引き込まれていることに気づくのは、しばらく後のことになるでしょう。
鮨しののめ:厚切り「ニシン」BOX “鞍掛” 握り
東西線の円山公園駅から徒歩5分ほどのビル2階に入る「鮨しののめ」。
店主は東京で修行の後故郷の北海道に戻り、札幌にこの店をオープンして8年目を迎えます。
まずはシャリのこだわり。東川町にある店主の実家で作る「ななつぼし」と「ゆめぴりか」を地元の名水「旭岳原水」で炊き上げています。
魚は道産はもちろん、全国からその時期の良いものを仕入れていますが、その中でも注目が「ニシン」。
この日のニシンは網走産。丁寧な包丁による骨切りを施し、玉子の “鞍掛” スタイルで握る別名「ニシンBOX」と呼ばれるこの店のスペシャリテです!
その力強い口当たりと味わいはどこまでも深く、これぞ “札幌で寿司を食べて良かった!” と思える一貫といえるでしょう。
寿し ひでたか:“漬け” の技で「ブリ」も極上に
札幌すすきのエリアを代表する寿司の名店が「寿し ひでたか」。
札幌の超有名老舗店で修行した店主は、その技を引き継ぎつつ自己の創意を施した寿司に昇華させ、ミシュランでも星を獲得するほど評価を得ています。
この店では「大トロ」を “漬け” にして仕上げ、そのマグロらしい脂の甘さを引き出していますが、その技術を応用した「ブリ」の漬けもひと味違います。
しっかりと醤油ダレに漬けられたブリに大トロ同様細かい包丁を入れて仕上げます。これもまた脂を口当たりの良く、シャリと一体化させる狙いでしょう。
ブリの脂が乗ってくる冬場こそこの技の見せ所。ぜひ旬のブリでこのスペシャリテを味わってみてください。
弐ノ蔵:江戸料理を握りで再現した「ねぎま」
「弍ノ蔵(にのくら)」は前出の人気店「鮨ノ蔵」が円山に構えた2号店。
独特のアイデアに溢れた酒肴や寿司がいただけるのは本店同様ですが、この店だけのスペシャリテもあります。
それが「ねぎま」。
江戸料理の「ねぎま鍋」をその発想としマグロを漬けにして焼きネギを隠し味に、さらに黒胡椒でアクセントを付けた握り寿司なのです。
食べてみればマグロ・ネギ・醤油というねぎま鍋の味わいが口中に広がります。
提供された器を見てみれば、これも時代を想わせる古九谷の丸小皿。
これぞまさに弐ノ蔵ならではのこだわりといえるでしょう!
金寿司:エビみそソースを軍監で拭う「甘エビ」
創業は昭和9年(1934年)と札幌でも屈指の老舗寿司店が「金寿司」。
札幌中心部のやや東寄り。地下鉄東西線のバスセンター前駅から徒歩5分くらいの場所に店を構えます。
渋い店構えはまさに昭和の雰囲気。寿司も老舗らしい伝統的なスタイルですが、その中にきらりと光るスペシャリテがありました。
「甘エビ」です。
目の前に置かれた皿には甘エビの握りにタネ無しの軍艦、さらに何やら “ソース” のようなもの…。
これ自家製「エビみそ」のソースで、軍艦で拭っていただきます。
その旨味とシャリとのハーモニーは見た目以上の驚きがあるはずです。
この店では外せない一品であり、まさに “スペシャリテ”といえるでしょう!
鮨 やしろ:これぞ北海道の “肉” 握り「白老牛」
円山エリアにある「鮨 やしろ」はコスパ抜群の「ランチ」が大人気。
北海道らしい海鮮はもちろん、創作系の寿司タネもたくさん使われます。
その中でスペシャリテともいえる一貫が「白老牛」の握り。
北海道の誇る「白老牛」の肉を握り寿司で味わう。まさに “北海道・札幌” ならではの楽しみといえるでしょう。
もちろんディナータイムのコースにも登場。
この日は白老牛の中でも特別な「あべ牛」を握ってくれました。白老の牧場で飼育された3歳未満の雌牛で肉質4〜5等級の黒毛和牛です。
その肉は脂がきめ細かく、シャリとも見事な相性をみせてくれました。
ぜひ北海道の “肉” 握り、味わってみてくださいね!
すし善:この店が 元祖!「とろたく巻」
札幌のみならず北海道でも “顔” といえる代表的な寿司店といえば「すし善」をおいて他にないでしょう。
創業者である現店主が東京で江戸前の技を修め、北海道に帰郷して開いた老舗です(現在札幌市内には3店舗)。それゆえ“江戸前”と北海道ならではの “蝦夷前” を融合した寿司を味わうことができます。
その中でこの店の “スペシャリテ” が「トロたく」(とろたく巻)。
その名のとおり、マグロのトロと沢庵の海苔巻きです。
食べたことがなければ少々 “相性” に不安を覚えるかもしれませんが、食べてみればそのマッチングに驚くことでしょう。
この「トロたく」発祥は諸説あるものの、「すし善」でも“元祖” を謳う自慢の一品となっています。
札幌の寿司店で「スペシャリテ」を味わおう!
札幌の寿司店でおすすめしたい “スペシャリテ” の寿司を厳選してご紹介しました。
北海道ならではの魚介類・米・水等を厳選して使う店、独自の創意に溢れたオリジナリティを売りにした店、寿司好きなら思わず “ニヤリ” という有名店の一品などなど、どれもがなかなか他では食べられないものばかりです。
このような観点からのお店選びも楽しいと思います。ぜひ一度店を訪れて自慢の“スペシャリテ寿司” を味わってくださいね。
なお、掲載店のシステムは「おまかせコース」のみや「お好み」「追加」注文ができる等、店ごとに異なりますので、ぜひ各店の「サツメシ」詳細紹介記事をご参照の上、訪問計画を組んでいただくことをおすすめします。