鮨職人こだわりの「ガリ」を味わえる札幌の寿司店をご紹介!
寿司店で「ガリ」といえば、おなじみ “生姜の甘酢漬け” のこと。
どの店でも寿司とともに提供しており、回転寿司店などではカウンターやテーブルに置かれた容器にたっぷりのガリが入れられ、好きなだけ食べられるようになっているほどです。
「ガリ」とは元々寿司店での符牒でしたが、今では誰もが使う一般的な呼称となっています。
その役割として箸休めや寿司の間に口をさっぱりさせたり、生姜の持つ抗菌・殺菌効果も期待できたり(効果については諸説あり)等、生魚を使う料理に最適な添え物といえるでしょう。
そんな寿司には欠かせない「ガリ」ですが、寿司店によっては単なる添え物以上のこだわりを持って作っており「脇役とは言わせない!」という主張さえ感じさせるものもあります。
今回は札幌で味わえる “こだわりのガリ” とその寿司店をご紹介しましょう。
角切り・賽の目カット系
ここでは「ガリ」をその形から何種類かに分類します。
まずは「角切り」から。賽の目(さいのめ)のような形にカットしたガリです。
最近の高級寿司店ではコース仕立てが一般化し一品料理が充実、寿司には煮切り(醤油)がぬられて提供されるので、箸を使っていただくのが普通になっています。
そんな場合にちょいと箸でつまめるように賽の目に切ったガリは最適で、おつまみ的な要素も持ち合わせ、ついつい「お代わり!」とお願いしてしまいます。
今最も “旬” なガリのスタイルといえるでしょう。
鮨 しょう太
2022年の12月にオープンし、今や札幌でもトップクラスの評価を受ける人気店「鮨 しょう太」。自慢のマグロとともに和食も腕利きである大将渾身の一品料理も自慢です。
その中でさりげなくカウンターに置かれる「ガリ」は角切りのみずみずしさが感じられるもので、おつまみ的に味わえます。
東雲
「東雲(しののめ)」は円山エリアで不動の人気を誇る一軒。シャリには北海道の実家(上川郡東川町)で作った米を使用、水も地元の名水を使うこだわりです。
おまかせコースの後半、握りに移るタイミングでカウンターに置かれる「ガリ」は食べやすくカットされ、程よい酸味と旨味によって口直しにもおつまみとしても味わえます。
鮨 八つ葉 円山
道東は中標津の名店「鮨わたなべ」の札幌2号店として円山にオープンした「鮨 八つ葉 (やつは)円山」。
鮨わたなべの若手職人が握ってくれる寿司が楽しく、内容も高コスパと評判です。
この店の「ガリ」は賽の目に近い丁寧なカットで提供され、店自慢の道産魚との相性も抜群ですよ!
すし善系
札幌、いや北海道を代表するといっても過言ではない寿司の名店が「すし善」。
そのすし善で提供する「ガリ」には特徴があります。
それは生姜を細めに薄くスライスすること。後述しますが、これは単なるスタイルではありません。
すし善出身の寿司店ではこの手法をしっかり引き継いでいる店も多くあります。
すし善本店
その本家本元が円山に店を構える「すし善 本店」です。
すし善のガリは先に説明したように “スライスタイプ”。細長にカットされたガリは適度な幅と厚みで、噛んだときにちょうど良い。これぞ、長年の伝統が生み出した“形” なのです。
甘酢の漬け方も程よい酸味と甘味がバランスしており、丁寧な作りを感じるもの。もちろん生魚にもお酒にもよく合います。
“さすがは名店のガリ!” だと思わせてくれるでしょう。
寿し ひでたか
「寿し ひでたか」はすし善出身の店主がすすきのに店を構え、ミシュランでも星を獲得するほどの評価を受けています。ここでさりげなく置かれる「ガリ」はもちろん “すし善スタイル”。
その味わいも文句なしで、「修行先で学んだ良いものを継承してきたい」と語る店主の気持ちが見事に表現されていました。
かね善
「かね善」はすし善本店の花板を長らく努めた名職人が独立して開いた店。その寿司・料理にはすし善の伝統と技が活きています。
もちろん「ガリ」もそのひとつで、こだわりのスタイルを貫きます。
丁寧なカットは、やはり噛み締めた時の旨味が違いますよ!
オーソドックス系
寿司店のガリは一般的には削ぎ切りした甘酢漬け生姜をふんわりと盛りつけることが多いですね。そんな中、一見はオーソドックスながら、ひと味違うガリにこだわっている店もあります。
まる鮨
すすきののミシュラン星獲得店である「まる鮨」は、先代の築き上げた伝統のスタイルに現2代目の店主が東京の名店で修めた江戸前の技を融合させて握る人気の寿司店です。
「ガリ」にもこだわり、程よい甘味に旨味、そして切れ味の良い刺激が加わり、魚の味をリセットしてくれます。姉妹店のいなり寿司店「備(sonau)」でも化粧瓶入りで販売しているほどの自信作です。
すし 宮川
ミシュランガイドで北海道の寿司店で唯一の三つ星を獲得する「すし 宮川」。
その腕によりをかけた一品料理の数々に江戸前の技を駆使した握り寿司は多くの人を魅了し続けています。
そんな名店の誉高い宮川の「ガリ」は、丁寧に細く薄くカットしつつ絞りを加えた状態で寿司皿に乗せられます。
そのサイズ感が程よい噛み心地を演出、さらにしっかりした辛味に程よい酸味と赤酢由来でしょうか、柔らかな旨味をもあって “これぞ三つ星店のガリ!” と思わせてくれますよ。
鮨菜 和喜智
札幌で宮川と双璧ともいえる高い評価を受ける寿司店が「鮨菜 和喜智(わきち)」です。
ミシュランガイドでは2012年2017年連続して二つ星を獲得。地元で仕入れる道内食材を中心に江戸前の技法も駆使して独自の寿司を創り上げています。
そして「ガリ」にもこだわりが…。
和喜智のガリは口の “リセット” 向けに、キリッと辛みと酸味が立ったもの。そのためコースの途中、握りに入ってからさりげなく寿司ゲタの端に少量ずつ置いてくれます。
「新生姜の時期は丸のまま仕込み、辛味を強く仕上げていますので少しずつ召しあがってください」とのこと。確かに刺激的な辛味と新生姜らしいピンクの輝きは、まさにそれを証明するかのようでした。
ユニーク系
札幌の寿司店「ガリ」特集の最後は番外編としてユニークな2軒をご紹介しましょう。
金寿司
独自スタイルの「ガリ」にこだわる寿司店に「金寿司」があります。
昭和9年(1934年)創業の札幌でも屈指の老舗で、江戸前の技法と蝦夷前の食材を融合させた寿司が味わえます。
その中で「ガリ」もこの店ならでは。
それは通常の「甘酢漬け」タイプと「塩漬けの新生姜」の2種類を一緒に出してくれること。
特に塩漬けの方はすし善流の “スライス” タイプで、口の中をサッパリさせる効果が抜群です!
(3代目店主はすし善での修行経験もあるとのこと)
弐ノ蔵
超のつく有名店である「鮨ノ蔵」の2号店として円山でその位置を確たるものにしつつある「弐ノ蔵(にのくら)」。本店さながらの創意工夫あふれる一品や寿司が魅力ですが、「ガリ」もまた驚きの一品が登場します。
それは自称「ガリフラワー」。何と “カリフラワー” で作ったガリなのです。
本店では(大将のこだわりか)ガリを提供しないことで知られていますが、2号店としてはそのこだわりは継承しつつも、独自性を発揮。カリフラワー独特の食感が楽しく、それでいてガリらしい酸味も感じます。
この店らしいまさに “ユニーク” なガリといえるでしょう!
寿司店に行ったら「ガリ」にも注目!
今回は今まであまり注目されていなかった寿司店の「ガリ」についての情報をまとめてみました。
単なる寿司の添え物であると思われがちなガリですが、実は店ごとにこだわりがあり、その特徴もいろいろであることがお分かりいただけたと思います。
札幌の寿司店では今回の記事を参考に「ガリ」にも注目し、その味わいを楽しんでくださいね!