北海道のソバと札幌のおすすめ蕎麦(そば)店、厳選の8店!

北海道のソバと札幌のおすすめ蕎麦(そば)店、厳選の8店!

北海道のソバ(蕎麦)栽培

一面に広がるソバ畑

一面に広がるソバ畑

北海道はソバ(蕎麦 ※)の収穫量で日本一、それも約4割という圧倒的なシェアを誇っています。
1970年代に始まった米の減反政策をきっかけとして、北海道でソバの栽培が広がりましたが、冷涼な気候・昼夜の寒暖差・低湿度など、まさに北海道の環境がソバ栽培に好適だったことが一大産地となる要因となりました。

中でも最大の産地は幌加内町。次いで深川市、そして音威子府村や旭川市(江丹別)名寄市などが続きます。その他、新得町なども蕎麦どころとして知られ、最近では摩周産(弟子屈町など)のソバなども注目を集めています。

※文中では穀物の状態を「ソバ」と表記しています。蕎麦屋は「蕎麦店」で統一、料理としては「蕎麦」あるいは「そば(メニュー名に多い)」としました。

北海道における蕎麦店の歴史

明治の初め頃、函館や小樽に蕎麦店があったという説がありますが、現存する蕎麦店で最も長い歴史を誇るのは釧路に総本店を構える「東家(あずまや)」ということになります。

北海道を代表する蕎麦店「東家」

「東家」は、明治7年(1874年)小樽にて創業。当初は “夜啼きそば” の形態(屋号は「やまなか」)でしたが、蕎麦切りによる営業はこの店が北海道で初めてでした。
その後屋号を「東家」とし、函館を経て釧路に移り「竹老園 東家総本店」を構えました。
現在「東家」の系列店は釧路を中心として札幌をはじめ北海道内に40軒以上もあり、まさに北海道を代表する蕎麦店といえるでしょう。

源流は老舗「かんだやぶそば」

源流は老舗「かんだやぶそば」

東家の蕎麦の特徴は「緑色」であること。
新蕎麦を思わせる淡い緑色を再現したもので、その手法は東京の老舗「かんだやぶそば」が発祥とされています。
実際にはクロレラによる着色であり、蕎麦そのものの色ではありませんが、新蕎麦気分を味わってもらおうという計いだったようです。

東家の蕎麦には他に「茶そば」や「蘭切りそば(卵つなぎ)」などもあり、竹老園の名物でもある「そば寿司」「かしわ抜き」などは一部の系列店でも品書きに上がり、今なおその伝統を守り続けています。

その他の蕎麦店系列

北海道で一大勢力といえる蕎麦店のグループはこの「東家」くらいで、その他は各地域に密着した地元の老舗店が点在し、それぞれの色彩を放って来たというのが北海道の蕎麦事情でした。あ
そのためか、東京で「3大蕎麦系列」とされる「藪・砂場・更科」の直系店はほとんど見かけません。

歴史ある東京の「虎ノ門砂場」(現在は仮店舗で営業中)

歴史ある東京の「虎ノ門砂場」(現在は仮店舗で営業中)

3大蕎麦系列に次ぐとされるのが「一茶庵(いっさあん)」系です。
総本店は栃木県の足利市ですが、その門下生が全国に散らばり多くの名店を開業したことで有名になりました。
中でも全国に約40軒を抱える「翁・達磨(おきな・だるま)」グループを築きあげた高橋邦弘氏は、その旗頭といえるでしょう。
札幌にはそのグループの一軒である「喜香庵(きこうあん)」があります。

一茶庵とともに蕎麦業界のニューウェイブを牽引した店が、千葉県柏市に本店を構える「竹やぶ」です。
竹やぶ自体も名店として名高いですが、ここからは現在の東京を中心に人気蕎麦店が数多く輩出されたことで知られます。
「吟八亭やざ和・玉笑・じゅうさん・三合菴・千寿竹やぶ・東白庵かりべ・織田(閉店)」など錚々たる店の名があがります。

北海道には竹やぶ系の蕎麦店は長らくありませんでしたが、名店「千寿竹やぶ」などで修行を重ねた職人が、数年前札幌に蕎麦店を開店しました。
その名を「心空(しんくう)」といいます。札幌に竹やぶのDNAを伝える期待の一軒です。

札幌のおすすめ蕎麦店

最後に今回ご紹介した内容に沿って、札幌でおいしい蕎麦(そば)が食べられるおすすめの店をリストアップしました。

まずは北海道を代表する東家系、そして一茶庵系竹やぶ系から各1軒。
さらにミシュランガイドで高評価の店を3軒。
そして地元の蕎麦好きに人気の店と、札幌に少ない蕎麦前文化を推進する店を各1軒ご紹介します。

それぞれサツメシのリンクもあるので、ぜひ参考にしてください。

1.東家寿楽:釧路東家の札幌継承店

北海道を代表する蕎麦店である「東家」。総本店は釧路の「竹老園」ですが、札幌の代表店といえば「東家寿楽(あずまやじゅらく)」になるでしょう。
札幌の円山地区に「ミニ竹老園」ともいえる中庭を設けた風情ある店を構え、本店同様の名物「そば寿司」や「かしわ抜き」も楽しめます。
大晦日の年越し蕎麦で賑わう店内はテレビ中継もされ、年末の風物詩ともなっています。

・店名:東家寿楽
・住所:札幌市中央区北2条西27丁目1-1
・電話番号:011-611-8659
・営業時間:17:00〜21:00
・定休日:水曜日(祝日営業・翌日休)
・アクセス:地下鉄東西線西28丁目駅 徒歩5分

<サツメシ記事>

2.喜香庵:一茶庵・翁・達磨系

蕎麦打ち名人、高橋邦弘氏の薫陶を受けた職人が札幌に開いた蕎麦店が「喜香庵(きこうあん)」です。
こだわりは自家製粉に加え「挽きたて・打ちたて・茹でたて」という蕎麦作りにあり、店名通り蕎麦の「香り」を楽しませてくれます。
「せいろ」など、量が少ないのはご愛嬌。それだけ高品質な素材を使い、高品位な蕎麦に仕上げているのです。

・店名:喜香庵
・住所:札幌市中央区南3条西17丁目291 すずかけビル 2F
・電話番号:011-616-4181
・営業時間:11:00〜15:00、18:00〜20:00
・定休日:火曜日
・アクセス:地下鉄東西線西18丁目駅 徒歩4分

<サツメシ記事>

3.心空:竹やぶ系の期待店

札幌に長らく無かった「竹やぶ」系の蕎麦店。
風穴を開けたのは、竹やぶの正統継承店「千寿竹やぶ」で修行した若者。
北の大地に江戸前の蕎麦を広める大志を抱いてオープンした店が「心空」です。
その蕎麦はもちろん、食材も竹やぶ同様のこだわりが窺え、期待が集まります。

・店名:蕎麦 心空
・住所:札幌市中央区北1条西19丁目2-17 表参道明豊ビル1F
・電話番号:011-213-8118
・営業時間:11:30〜15:00、17:00〜22:00
・定休日:水曜日
・アクセス:地下鉄東西線西18丁目駅 徒歩5分

<サツメシ記事>

4.こはし:市内唯一のミシュラン星獲得店

ミシュランガイド北海道2012、2017版ともにミシュランの星を獲得した店は、札幌では「手打ちそば こはし」だけ。
普通の家を改装したような店の造りは、床まで大きくガラス張りになった窓から中庭が眺められ、ゆったりとした気分で蕎麦を楽しむことができます。

・店名:手打ちそば こはし
・住所:札幌市中央区北10条西21丁目1-2
・電話番号:011-621-8482
・営業時間:11:00〜15:00、(土日は17:00〜20:00あり)
・定休日:火曜日・第3水曜日
・アクセス:地下鉄東西線二十四軒駅 徒歩10分

<サツメシ記事>

5.やま賀:名店揃い西区のビブグルマン獲得店

ミシュランガイド北海道2017版でビブグルマンを獲得した蕎麦店が「手打ちそば やま賀」。
決してアクセスの良いとはいえない場所ながら、その人気は開店前から行列ができるほどです。
札幌を代表する「更科そば」の店として知られ、さらには「桜えびのかき揚げ」は多くのお客さんが注文する名物。その組み合わせとなる「桜えびせいろ」はもちろん一番人気のメニューになっています。

・店名:手打ちそば やま賀
・住所:札幌市西区西野5条8-8-13
・電話番号:011-668-8771
・営業時間:11:30〜15:00
・定休日:火曜日
・アクセス:地下鉄東西線宮の沢駅 徒歩25分

<サツメシ記事>

6.手打ち蕎麦のたぐと:今や札幌トップの人気店か

札幌に人気の蕎麦店数あれど、「手打ち蕎麦のたぐと」がそのトップの一角に君臨していることは疑いの余地がありません。
西区の地下鉄駅からは徒歩で10分ほどを要する決して便利な場所ではないにもかかわらず、連日店の前には待ち人であふれます。
この店の蕎麦は白くきれいな「更科蕎麦」ですが、口に含めばそのキリッと締まった腰のある蕎麦に驚くことでしょう。

・店名:手打ち蕎麦のたぐと
・住所:札幌市西区西野1条3-2-2
・電話番号:011-663-6733
・営業時間:11:00〜15:00(蕎麦が無くなり次第終了)
・定休日:日曜日
・アクセス:地下鉄東西線発寒南駅 徒歩10分

<サツメシ記事>

7.志の家:市内屈指の人気蕎麦店

札幌の蕎麦店では一・二を争う人気店がここ「志の家」です。
その蕎麦はあえて系列に入れるなら「一茶庵」系になるでしょう。
一茶庵名物の「変わり蕎麦」もいただけるし、そのベースとなる「更科」そばの美しさは比類がありません。
営業時間は夕方(17時)までですが、「昼飲み」に最適な酒肴(板わさ・鴨スモークなど)に日本酒も用意されています。

・店名:手打ちそば 志の家
・住所:札幌市中央区南2条西12丁目323-10 リナパートナーズ南2条1F
・電話番号:011-281-1045
・営業時間:11:15〜17:00
・定休日:日曜日
・アクセス:地下鉄東西線西11丁目駅 徒歩5分

<サツメシ記事>

8.香凛:酒通の集まる人気蕎麦店

蕎麦店で蕎麦を食べる前にお酒を楽しむ「蕎麦前」。
東京などでは一般的な食文化ながら、北海道で強く推奨している店は多くありません。
その文化を札幌に広げるべく、日々銘酒の仕入れと酒肴の開発に力を注いでいる店が、琴似の「想咲そば処 香凛」です。
日本酒は固定メニューがなく、ほとんどのお酒が当日から翌日には完売してしまうため「ほぼ日替わり」という驚きの蕎麦店です。

・店名:想咲そば処香凛
・住所:札幌市西区琴似1条6丁目2-24 ハイムリバーフィールド1F
・電話番号:090-7640-1278
・営業時間:11:00〜14:00、17:00〜21:00
・定休日:日曜日(月祝の場合、日曜日営業・月曜休)
・アクセス:地下鉄東西線琴似駅5番出口 徒歩3分

<サツメシ記事>

その他のおすすめ蕎麦店

今回は当コラム記事に登場した蕎麦店をおすすめの店としてご紹介しましたが、サツメシにはその他にも札幌の蕎麦店を数多く掲載しています。

サツメシ「蕎麦・うどん」カテゴリー

ぜひこれらの店もチェックしていただき、訪問してみることをおすすめします。

【2020.9.16追記】
当記事公開時に紹介した「松の實」が閉店したため、同じくビブグルマン獲得の人気店「やま賀」を新たに掲載しました。

【2020.12.24】
ビブグルマン獲得の人気店「手打ち蕎麦のたぐと」を追加しました。