札幌で食べる「白身」寿司!おすすめの店はここ!

札幌で食べる「白身」寿司!おすすめの店はここ!

寿司ではいろいろな魚がタネとして握られますが、「白身」も欠かせない魚種です。
特にシャリ(鮨飯・酢飯)との相性がよく、その味を引き立てる寿司タネであることが大きな理由でしょう。

代表的なものは「鯛」や「ひらめ」。そして夏に味の落ちる傾向のある「ひらめ」に代わって「かれい」を握る店も多くあります。

今回は札幌で「白身」魚の寿司を食べるならここ!というおすすめの店を魚の種類ごとに、訪問レポートの形も含めて情報をまとめてみました。
北海道ならではの白身魚や「これも白身?」と思うような魚もたくさんありますよ!

※ なお記事内では寿司タネとしては「鯛・たい」など漢字・平仮名で、魚の分類等については「マダイ・チダイ」など片仮名で表記しています。

白身魚の定義

では「白身魚」はどのような魚のことでしょうか?
一般には “見た目が白い”魚ということになりますが、水産学上は定義があり、「色素タンパク質の血中濃度が100gあたり10g未満の魚を白身魚」(10g以上は赤身魚)としています。

これはあくまで学術的な分類であり、寿司においての「白身」とは少し違いがあります。
先にあげた「鯛・ひらめ・かれい」は白身の寿司タネとして長い歴史を持っており、江戸前の魚として知られる「すずき」なども白身としてよく握られる魚です。

寿司店では「しまあじ」は白身

寿司店では「しまあじ」は白身

一方で上記分類では赤身に分類される「しまあじ・かんぱち」などは古くから多くの寿司店で白身として扱われています。
その他、北海道では“幻のかれい”として知られる希少種の「まつかわ」市魚に認定する都市もある「そい」なども白身魚の寿司タネです。

たい

白身の代表といえばやっぱり「鯛(たい)」でしょう。しかし「タイ」と名のつく魚は200種類以上もあるとされています。
その中でも寿司タネとしては「真鯛(まだい)」ということになります。マダイはタイ科の魚で同じタイ科で日本近海に生息する魚としてはチダイ・キダイ・クロダイなど13種類ほどとされています。

寿司タネとしての「たい」皮と身の間にある脂が旨さのポイント。ただし皮は硬めで食べにくいので、湯引きをした上で塩をして味を整える店も江戸前の技法です。

金寿司

創業は昭和9年(1934年)という札幌でも老舗クラスの「金寿司」。北海道の魚を江戸前の技で仕上げる独自の寿司を食べさせてくれます。

皮目の処理がポイント!

皮目の処理がポイント!

「たい」皮目を活かしつつシャリとの融合を考えた仕込み。まさに江戸前の技!

<店紹介記事はこちら>

鮨 かん壱

すし善系の人気店で腕を磨いた店主が握る「鮨 かん壱」は札幌でも新進の期待店。
仕込みの技は名店からしっかり受け継ぎ「たい」皮目をバランスよく残した包丁捌き。

名店仕込みの技!

名店仕込みの技!

その狙いは口の中で答えを出してくれますよ。

<店紹介記事はこちら>

鮨ノ蔵

札幌でその名を全国に轟かせる一軒が「鮨ノ蔵」。“変態鮨” などというそのユニークな寿司はこの店への褒め言葉。

熟成感たっぷりの「たい」

熟成感たっぷりの「たい」

一方、正統的な手法もしっかり駆使し、「鯛」の旨味を引き出す “熟成” の技は見事の一言です!

<店紹介記事はこちら>

ひらめ

「ひらめ」も白身の寿司タネとしては欠かせない魚です。
江戸前仕事としてはひらめに塩をして、昆布挟むようにして仕込む“昆布締め” がその代表。

「昆布締め」の手法

「昆布締め」の手法

元々は冷蔵庫のない時代に鮮度を保つための工夫でしたが、こうすることで “味もよくなる” ため、江戸前仕事として今に引き継がれているのでしょう。

金寿司

前出の金寿司では「ひらめ」を “挨拶代わり” の一貫として握ってくれました。

シャリの旨さが引き立つ一貫

シャリの旨さが引き立つ一貫

さすが老舗といえる熟成による舌触りのなめらかさは見事なもの。
(店紹介記事リンクは前出)

鮨処 有馬

この日は積丹産のひらめ昆布締めに。

上に刻んだ“えんがわ”

上に刻んだ“えんがわ”

身は熟成させて旨味を引き出し、上には刻んだ “えんがわ” を乗せることでアクセントを演出しています。

<店紹介記事はこちら>

鮨 やしろ

この日はおまかせコース後半の握りでトップバッターを務めました。

昆布の締め具合も見事

昆布の締め具合も見事

程よい昆布の締め具合がシャリとベストマッチ。

<店紹介記事はこちら>

番外編:すゝき野 鮨金

“おつまみ” としてのひらめもご紹介しましょう。
すすきのにある人気店「すゝき野 鮨金」ではコースのトップにひらめの刺身が登場。

熟成ひらめを“えんがわ”添えで

熟成ひらめを“えんがわ”添えで

単に切っただけではなく、一晩寝かせることで食感の良さと旨味を引き出し、さらに “えんがわ” も添えることで食感の違いをも楽しむことができました。

<店紹介記事はこちら>

まつかわ

「まつかわ(マツカワガレイ)」“北(東)のマツカワ、南(西)のホシガレイ” と言われるほど、高級な魚として知られます。
北海道は有数の産地であり、札幌でも高級寿司店を中心に白身のタネとして扱われています。

すし善 本店

札幌を代表する寿司店である「すし善」北海道の魚を江戸前の技法で握りに仕上げてくれます。「まつかわ」もそのひとつ。程よい熟成感シャリの旨さを引き立てます。

熟成感は程よく

熟成感は程よく

この日は握りのスタートを飾り、タネとシャリの融合は、さすが名店!と感じさせるものでした。

<店紹介記事はこちら>

寿し ひでたか

「寿し ひでたか」はすし善で修行の後独立した店主がすすきのに構えた寿司店で、今や札幌でも屈指の名店として高い評価を受けています。修行先の伝統と技をしっかり引き継いでおり、この日も道内産の「まつかわ」を一貫目に握ってくれました。

熟成は1週間!

熟成は1週間!

何と1週間も寝かせたまつかわは熟成感たっぷり。シャリとの相性は言わずもがなでした。

<店紹介記事はこちら>

かね善

すし善系といえば「かね善(かねよし)」も外せません。その理由はすし善の本店で長らく店長を務めた大金氏が独立開店した店だからです。
この店でも握りのトップバッターは「まつかわ」が務めていました。

上には「白板昆布」を

上には「白板昆布」を

白板昆布を上に添える形で握り、その香り・旨味・シャリとの融合は文句なし!の一貫でした。

<店紹介記事はこちら>

すずき

「すずき」も江戸前寿司では歴史のある魚です。東京湾でも多く獲れ、かつては高級魚の一つでした。しかし内湾の汚染等の影響を受け、徐々に大衆魚として扱われるようになりました。
しかし現在では環境の良化や流通の発達で、全国の名産地から取り寄せられるようになり、その立場を回復しています。

金寿司

札幌ではあまり扱いが見られない「すずき」ですが、老舗店の一軒である「金寿司」では定番の一つとして握ってくれます。

脂の甘さが味わえます

脂の甘さが味わえます

その味わいは、ほのかな甘さがシャリとよくマッチしました。この甘さはすずきの上質な脂によるものです。(店紹介記事リンクは前出)

これも白身?

「たい・ひらめ・すずき」などは見た目どおりの “白身”魚ですが、中には「これも白身?」という魚も多くあります。
ここでは札幌の寿司店で登場したそんな魚たち(写真はリンク先の店のもの)をご紹介しましょう。

きんき

「きんき」は高級魚として知られ、特に北海道網走産はブランドものとして人気です。
正式名は「キチジ(喜知次・吉次)」。その名に由来した札幌の有名寿司店が「和喜智(わきち)」で、「きんき」はスペシャリテの一貫です。

これぞスペシャリテ!

これぞスペシャリテ!

皮目を炙り、その香りと脂の旨味がバランスよく口中で広がります!

そい

「そい」も北海道ではよく見られる魚でメバル科に属します。寿司タネとして握られるのは「マゾイ」「クロソイ」で、特にクロソイは室蘭市の “市魚” に認定されているように北海道では馴染みの深い魚です。

上品な白身です

上品な白身です

「寿し ひでたか」(前出)で握ってくれたのは積丹産のマゾイ。その上品な味わいはひらめにも負けないものでした。

金目鯛

「金目鯛」はその赤い魚体から「キンキ」の仲間と思われがちですが、別の魚です。身も脂が乗るほど赤っぽく見えるので、白身魚のイメージは少ないかもしれません。

脂が乗ると赤く見えます

脂が乗ると赤く見えます

札幌の誇るミシュラン三つ星店「すし 宮川」でいただいた金目鯛は口に入るとまず甘さ、そして脂のコクを感じ、シャリと融合して旨味に変わっていきました。

のどぐろ

「のどぐろ」は別名 “白身のトロ” と称されるほどの脂乗りが魅力の魚で、今やとびきりの高級魚に位置付けられています。
正式名は「アカムツ」喉が黒いことから通称名で呼ばれます。ホタルジャコ科に属し、「クロムツ」などムツ科の魚とは別種です。
かつては寿司に握られることは少なかったのですが、流通の発展により鮮度の良いのどぐろが入手できるようになり、北海道の寿司店でも時々見られるようになりました。

皮目を炙って薬味乗せ

皮目を炙って薬味乗せ

円山の「鮨 草平」でコースの握りに登場したのどぐろ対馬(長崎)から取り寄せたもので、その脂のコクと甘味は素晴らしいものでした。

くろむつ

「くろむつ」はその名のとおり体色の黒いムツ科の白身魚です。身は透明感がありますが脂の乗りが良いとやや混濁し、血合いは赤みを帯びています。

脂の乗りがわかります

脂の乗りがわかります

札幌ではあまり目にしませんが、円山の「すし処 静(しずか)」で握ってもらったくろむつは、そのとおりの見た目で脂の旨味を味わえました。

ほっけ

「ほっけ」といえば、開き干しの焼き魚として目にすることが多いでしょう。
かなり足の速い(鮮度が落ちやすい)ことと、寄生虫リスクなどのため生食は珍しいのですが、札幌では地元ならではの寿司として握られることがあります。

札幌ならではの「ほっけ」寿司

札幌ならではの「ほっけ」寿司

「鮨 八つ葉 円山」では鮮度の良いほっけを一貫目に握ってくれました。トップを飾る白身としての扱いで、シャリとの相性も抜群でした!

いさき

「いさき」は外洋に面した浅場にいる磯魚で、古くから焼き魚等で多く消費されています。近年では流通の発展により各地に出回るようになり、鮮度の良いものは寿司でも握られるようになりました。札幌では珍しい寿司タネですが、円山の名店「鮨 草平」では愛媛・八幡浜から取り寄せたいさきがコースの握りに。

美しい身色の「いさき」

美しい身色の「いさき」

赤みを帯びた白身は美しく旨味もたっぷりで、大将曰く、「この時期(夏)のいさきは鯛より美味い!」

珍しい白身

最後に札幌で食べられる “珍しい” 白身魚をご紹介しましょう。

めいちだい

円山の人気店「弍ノ蔵(にのくら)」「めいちだだい」をいただきました。
その名に反してタイ科ではなく(スズキ目)フエフキダイ科の魚です。

通は「たい」より好むとも

通は「たい」より好むとも

綺麗な白い身色で、味わいもそのとおりの上品さを感じる一貫でした。

めぬき

北海道の寿司店ではおつまみでも握りでもよく供される魚が「めぬき」
一般には「めぬけ」と呼ばれ、深海魚ゆえ釣り上げると目が飛び出す魚の総称です。

札幌ではお馴染みの白身魚です

札幌ではお馴染みの白身魚

「鮨 八つ葉 円山」で握ってくれた「めぬき」は、脂の乗りが独特の舌触りを感じさせるこの地ならではの一貫でした。

札幌ならではの「白身」寿司を味わおう!

握り寿司には欠かせない「白身」魚とそれを味わえる札幌でおすすめの寿司店をご紹介しました。
文中でも繰り返したことですが、白身はコースではトップバッターに指名されることが多い寿司タネです。それは “淡白から濃厚へ” という食べる順番のセオリーに則るものであり、その店のシャリの味を明確にするタネでもあるからです。
そして札幌では “北海道ならでは” の白身が食べられることもお分かりいただけたと思います。
ぜひおすすめの店で札幌の白身魚の寿司を味わってくださいね!