札幌で人気のおすすめ蕎麦屋8選、蕎麦前を粋に楽しめる店をご紹介!
蕎麦前とは?
「蕎麦前(そばまえ)」って言葉を聞いたことありますか?
蕎麦前とは、一言でいえば「蕎麦屋で蕎麦を食べる前にお酒を楽しむこと」。またはその「お酒」のことを指したり、ひとつの「食文化」として説明されたりすることもあります。
歴史は古く、江戸時代街中に増えつつあった蕎麦屋で蕎麦が出てくる前に種物(具の乗った蕎麦など)に使う食材を“おつまみ”にしてお酒を飲んだことから江戸庶民の間で定着し、現代まで脈々と受け継がれているものです。
あくまで蕎麦を食べる前の楽しみなので、(現代の)居酒屋のような“長っ尻”はしません。軽くつまんで飲んで、蕎麦をサッと手繰って帰る。
これが粋を重んじる江戸っ子に受け入れられたのでしょう。
蕎麦前のおつまみ(酒肴)としてはどんなものがあったのでしょうか。
酒肴といっても居酒屋ではないので、わざわざ作ったようなメニューではなく、蕎麦屋ならではの食材を簡易に提供していました。
どの店でも出されていたものとしては「板わさ」「焼きのり」「だし巻き玉子」などが代表的なものです。
板わさは「おかめそば」、焼きのりは「花巻そば」、だし巻きの卵は「月見そば」や「玉子とじ」などに使うもので、どこの蕎麦屋にも置いてあるものでした。
中でも「だし巻き玉子」は蕎麦屋の「出汁」や「かえし」(これを合わせて「そばつゆ」にする)で味付けをするため各店の腕の見せ所でもありました。
その他、やはりこれもタレにそばつゆの味が活かされる「焼き鳥」や種物の代表ともいえる「天ぷら」も好まれ、天ぷら蕎麦から蕎麦を抜いた「ぬき(天抜き※)」などは江戸っ子に人気のおつまみになりました。
このように見てみると、蕎麦前の酒肴は現代とほとんど変わっていないことに気づきます。
もちろん最近では独自の工夫を凝らして様々な料理を提供している蕎麦屋も増えてはいますが基本は変わらず、江戸の食文化である「蕎麦前」の伝統は現代にも受け継がれているといえるでしょう。
※近年では種物の蕎麦を抜いた各種の「ぬき」を提供する店も増えています。
札幌で蕎麦前におすすめの店
蕎麦前を理解したところで、札幌にある“蕎麦前を楽しむのにおすすめの店”をご紹介します。
各店の蕎麦の特徴やおすすめの酒肴をまとめていますので、蕎麦屋めぐりの参考にしてください。
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蕎麦切り 春のすけ
札幌で蕎麦前ファンに人気の店といえば「春のすけ」の名があがります。
JR札幌駅から少し離れた通称「ファイターズ通り」にある隠れ家的な店ながら、今や札幌でも屈指の評価を受ける(大手グルメサイトでTOP3入り!)蕎麦屋です。
石臼挽きの自家製粉による手打ちの蕎麦はもちろんですが、何といっても日本酒の揃えと酒呑み心をくすぐる酒肴の数々が人気の理由でしょう。
蕎麦はハーフサイズの“太打ち田舎”と“細打ち粗挽き”を順に提供してくれる「もりそば2種食べ比べ」がおすすめ。
酒肴では「しょうゆ豆」や「酢大豆」がお酒のお供にぴったりです。
その他定番の「板わさ」や「そば味噌」、食べ応えのある「若鶏の天ぷら」「厚切鴨ロース」などまでいろいろ用意されています。
日本酒もメニューに「飲みやすさの順番」が振ってあるなど、客目線に立つこの店らしい対応に心惹かれるものがあります。
・店名:蕎麦切り 春のすけ
・住所:札幌市東区北7条東3丁目15-72
・電話番号:011-742-1290
・営業時間:11:30〜23:00
・定休日:日・祝日
・アクセス:JR札幌駅 徒歩10分
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そばびより 朱月菴
次は札幌でも独特な営業形態で人気の店、「そばびより 朱月菴(あかつきあん)」をご紹介しましょう。
場所は札幌のディープスポットとして知られる「すすきのゼロ番地」。すすきの市場のあるビルの地下飲食街です。
この店の“独特な営業形態”とは、「開店は19:00、閉店(L.O.)は13:30」つまり夜しか開かない蕎麦屋なのです。
いえ、ご主人に言わせると「ウチは蕎麦屋ではない」とのこと。
確かに「蕎麦だけの注文はご遠慮ください」が店の方針で、どのお客さんもおつまみにお酒、そして蕎麦は締めの一品として楽しんでいます。
蕎麦屋というより「蕎麦前屋」がふさわしい、そんな店です。
定番の酒肴はやっぱり「板わさ」、そして焙炉で提供される「焼きのり」。さらに「だし巻き玉子」まで。「スジコン」という牛スジの煮込みも人気です。
蕎麦(せいろ)は香り高く喉越しの良いもので、辛めのつゆが味を引き締めます。
すすきので飲んだ後、ホテルに帰る前のひと時をゆっくり過ごす。
そして、お定まりのラーメンではなく「蕎麦」で締める。なかなか粋なものです。
・店名:そばびより 朱月菴
・住所:札幌市中央区南6条西4丁目 すすきのゼロ番地B1F
・電話番号:011-562-8081
・営業時間:19:00〜翌1:30
・定休日:日・祝日、第一月曜日
・アクセス:地下鉄南北線すすきの駅 徒歩5分
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蕎麦屋酒 しの崎
店名に「蕎麦屋酒」。これだけで紹介する価値ありの店といえますが、「蕎麦屋酒 しの崎」には蕎麦前を楽しめる酒肴や日本酒がいろいろと揃っています。
“蕎麦屋の定番”なら「蕎麦味噌」や「玉子焼き」、「にしん旨煮」など。そして「かしわ抜き」「鴨抜き」などもあります。
「焼き鳥」も蕎麦つゆを活かした一品で、カリッと焼かれた鶏肉に旨味のあるタレが絡みます。
さらに“蕎麦屋の創作料理”として「そばがき」とその「揚げ出し・素揚げ揚げ出し」というメニューもありますが、「そばがき」だけで何種類も用意しているのは珍しいことです。
蕎麦前に力を入れていることは、「仕上げ蕎麦」として通常の「せいろ」より量少なめで、その分安価に提供するメニューを用意していることでもわかります。
そしてこれも珍しいのが「そば湯」。通常の「ゆで湯」(無料)に加えて「そば粉入りそば湯」(100円)もあり、「そば湯用の塩」も添えてくれるので、わさびを溶いたり蕎麦つゆを加えたりして味わえます。
「利き酒セット」に「晩酌セット」、(天ぷらの付かない)「ミニ晩酌セット」などもあり、酒呑みを迎える体勢は常に万端という店です。
・店名:蕎麦屋酒 しの崎
・住所:札幌市中央区南1条西9丁目1-2 第2北海ビルB1F
・電話番号:011-222-5311
・営業時間:11:30〜14:30、17:30〜23:00
・定休日:日・祝日(土曜日は夜のみ)
・アクセス:地下鉄東西線西11丁目駅 徒歩3分
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そば切り 膳
定番の酒肴とシンプルな創作料理で蕎麦前を楽しめる店、それが「そば切り 膳」です。地下鉄東西線の西18丁目駅(大通駅から2つ目)を降りてすぐという場所にあります。
店は店主夫婦で切り盛りしており、戸を開けて店に入ると思わず「ただいま!」という声が出そうになるほどの家庭的な雰囲気です。
酒肴類は定番なら「板わさ」「焼き味噌」「卵焼き」。さらには「鰊甘露煮」や「天抜き」などもあります。
そしてこの店にはちょっとした手料理的なおつまみが揃っています。
例えば「エビアボカドわさびマヨ」。食材を羅列しただけのメニュー名に思えますが、全くその通り。しかし食べてみれば、それぞれの食材が主張しながらバランスを取っている。ネーミング通りのユニークな味わいです。
その他「鳥のおろしポン酢合え」や「なすの肉味噌炒め」「ごま香る冷製トマト」など、どれもが食べてみればお酒によく合うことに驚きます。
蕎麦は手打ちで気取りのないストレートに滋味を感じられるもの。
蕎麦前を楽しんだら、仕上げ蕎麦をいただきましょう。
・店名:そば切り 膳
・住所:札幌市中央区大通西19丁目1-17
・電話番号:011-631-8863
・営業時間:11:30〜14:30、17:00〜20:40(L.O.)
・定休日:月曜日(祝日営業)
・アクセス:地下鉄東西線西18丁目駅1番出口向かい
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そば切り 黒むぎ
蕎麦屋といえば、庶民の食べ物屋として食堂然とした店構え・造りが多いもの。
でも、たまにはちょっとお洒落に蕎麦を楽しみたい、そんな時は迷わずここ「そば切り 黒むぎ」です。
場所はJRの札幌駅から歩いて5分ほど、ビルの地下にある店で入口からそのオシャレ感が際立ちます。
店名の「黒むぎ」とは古の言葉で「蕎麦」のこと。ネーミングまでオシャレです。
店内は(蕎麦屋としては)広めの造りで、カウンターにボックス席、個室もあります。
蕎麦前は充実の酒肴が魅力的。定番の「板わさ」「自家製蕎麦みその炙り」、「出し巻き玉子」などから、「焼き枝豆」や「塩茹で落花生」「梅水晶」まで酒呑みの好みをしっかり押さえています。
日本酒も「獺祭」「新政」「而今」「写楽」という“地酒四天王”ともいえる人気銘柄を揃えています。
老舗の蕎麦屋もよいですが、たまにはこんなお洒落な雰囲気の中で蕎麦前を楽しむ。そんな時のために知っておいて損のない店です。
・店名:そば切り 黒むぎ
・住所:札幌市北区北8条西4丁目20-1 バロンドール B1F
・電話番号:011-737-5377
・営業時間:11:30〜14:00、17:30〜22:30
・定休日:日・祝日
・アクセス:JR札幌駅 徒歩5分
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さくら庵
札幌の完成な住宅地として知られる円山。その地にひっそり佇む蕎麦屋が「さくら庵」です。
古民家をリノベーションした店内は、席に着くまでにもその和の雰囲気を楽しめます。
この店の蕎麦の特徴は白っぽい更科系で、上品な見た目ながらしっかりとコシのあるもの。つゆはキリッと辛口で蕎麦の味わいを引き立てます。
名物は「鴨せいろそば」。ローストビーフのような造りの鴨肉が器に盛られ、温かいつゆが別に添えられます。
「天ぷら」もこの店では欠かせない人気メニューです。
サックリ揚げ切りの良い天ぷらで、お酒のつまみに最適といえます。
夜(土・日・月曜日)には気軽に楽しめる「コース」(2,000円税込〜)があり、この自慢の「天ぷら」に料理(値段によって3 or 4品)と蕎麦が付くという、まさに「蕎麦前」のセットになっています。
円山の夜、蕎麦前を気軽に楽しむなら、「さくら庵」は最適の一軒といえるでしょう。
・店名:さくら庵
・住所:札幌市中央区南5条西24丁目1-34
・電話番号:011-533-0789
・営業時間:11:30〜15:00、17:00〜19:30(火木金は昼のみ)
・定休日:水曜日
・アクセス:地下鉄東西線円山公園駅 徒歩7分
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手打ちそば さくら 大通店
※「手打ちそば さくら 大通店」は閉店しました。
「手打ちそば さくら」は、日高門別の超人気店「いずみ食堂」の子息が独立して札幌進出した店です。
本店は豪快(極太縮れ)な田舎蕎麦で食事中心ですが、札幌店はニーズに合わせて蕎麦前も充実させています。
酒肴は定番の「枝豆」「もろきゅう」「チーズスティック」、そしてもちろん蕎麦屋ならではの「だし巻き玉子」もあります。
蕎麦では「鴨そば」が一番人気で、おつまみなら「合鴨の山椒焼き」でその鴨を味わえます。
「蕎麦前」の楽しみなら、ドリンク+おつまみ2品+小盛りそばの組み合わせの「おつかれさまセット」(1,280円税込)がおすすめ。
これに「鴨汁」を追加すれば「鴨抜き」として味わえます。最後は蕎麦でミニ「鴨せいろ」という具合です。
・店名:手打ちそば さくら 大通店
・住所:札幌市中央区南1条西4丁目5 大手町ビルB1F
・電話番号:011-218-8080
・営業時間:11:30〜15:00、17:00〜23:00
・定休日:日曜日
・アクセス:地下鉄大通駅 徒歩3分
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翠明庵
「翠明庵(すいめいあん)」はJRや地下鉄の駅からは少し離れた場所ながら、札幌の蕎麦好き・酒呑みの間ではとても人気の高い店です。
その理由はもちろん「蕎麦」。
希少な奈川在来の蕎麦粉を使い、十割つなぎ無しとは思えないほどの細さに打ち上げます。早速手繰ってみればその消え入るような喉越しの良さに驚くことでしょう。
そして「酒」にも人気の理由があります。
ご主人は酒造りの技術者でもあり、数年前までは冬季の半年間東北の酒蔵に出張(店は休業)して酒造りを行い、出来た酒を自らの店で提供していました(現在は単発出張で対応)。
その酒蔵とは銘酒「伯楽星」や「あたごのまつ」で知られる宮城県の「新澤酒造店」。
“究極の食中酒”ともいわれ、近年の酒コンテストでも上位入賞を獲得しています。
今年は「翠」という限定酒が飲めます(昨年は「光り」でした)。
他の店では飲めないお酒なので、これを目的に札幌の酒呑みたちが翠明庵に集まるというわけです。
・店名:翠明庵
・住所:札幌市西区西野9条4丁目8-17
・電話番号:011-664-7238
・営業時間:11:30〜14:00、18:00〜22:00
・定休日:木曜日(日・祝は昼のみ)
・アクセス:地下鉄東西線発寒南駅 バス13分
札幌で「蕎麦前」を楽しもう
札幌で蕎麦前を楽しめるおすすめの蕎麦屋を8軒、厳選してご紹介しました。
蕎麦前には居酒屋のようにダラダラ飲み続けることのない、「ちょいと数杯軽く飲み、蕎麦を手繰ったらお会計!」そんな大人の飲み方が似合います。
ぜひ札幌で蕎麦前を粋に楽しんでください。