札幌ラーメンの歴史とおすすめ人気店15選!
札幌グルメといえば誰もが思い浮かべる「ラーメン」。特に厳しい冬の寒さの中で食べる熱々のラーメンは、札幌でこその味わいと言えるのではないでしょうか。
今回は札幌におけるラーメンの歴史をまとめてみました。
名店「純連」と「すみれ」の違いって何?、それを知れば食べ比べをしたくなるような、ラーメン体験を楽しむ豆知識も盛り込んでいます。
そして今札幌でおすすめの人気ラーメン店も厳選してご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
札幌ラーメンの歴史
最初に札幌ラーメンの歴史を紐解いてみましょう。
ラーメンが札幌のご当地グルメになったのは理由があり、そこには意外な事実も隠されています。
札幌ラーメンの誕生
札幌ラーメンの歴史を遡れば、発祥は大正時代に辿り着きます。
「竹家食堂」という店が大正12年(1922年)にその原型となる料理を始めたという説があり、昭和初期には札幌市内に同様の店が10軒ほどあったとされます。
しかし昭和12年に開戦した大東亜戦争以降にはそれらの店全てが姿を消してしまったので、現在の札幌ラーメンとの関係は分断されていることになります。
現在の札幌ラーメンは、戦後に現在のすすきのにおける「屋台」営業がその源流です。
昭和22年(1947年)頃には、その後も営業を続けた「龍鳳」(2008年に閉店)や、現在なお現役の「だるま軒」などが開店していました。
あまり知られていない事実ですが、当時の札幌ラーメンは「醤油」味が中心で、まだ味噌ラーメンはメニューにはありませんでした(この時代のシンプルな醤油ラーメンを現代に引き継いでいる店に「ゆりや食堂」や「三角山五右衛門」「芳蘭」などがあります)。
昭和26年(1951年)には8軒のラーメン店が集まった「公楽ラーメン名店街」が設けられ、これがその後の「ラーメン横丁」の前身となります。
その中の一軒「だるま軒」は製麺技術でも定評があり、他の店にも自家製麺を卸していました。
その製麺部門が独立し製麺会社を開業することになり、これが今や札幌ラーメンの顔とも言える企業「西山製麺」となったのです。
味噌ラーメン登場!
醤油味のラーメンが一般的であった札幌に「味噌」味のラーメンが登場するのは昭和29年(1954年)。
今でも札幌の人気店として営業を続ける「味の三平」の創業者が、味噌汁にヒントを得て考案した「味噌味メン」がその最初とされています。
スープとともに炒める野菜がたっぷり乗り、プリプリとコシのある縮れ麺(西山製麺と開発)と組み合わせたのも「味の三平」が最初でした。
その後複数のメディアで取り上げられたことやインスタントラーメン(サッポロ一番)の登場、全国に店舗展開を行った「どさん子チェーン」の人気などによって、札幌の味噌ラーメンは全国的な知名度を得ました。
これらの要因によって「札幌=味噌ラーメン」というイメージが定着していったのです。
純連・すみれの影響
味の三平の考案した味噌ラーメンはその手法とともに多くの札幌ラーメン店に影響を与え、同様の味噌ラーメンを提供する店が増えていきました。
その中でも新たな方向性の味噌ラーメンを作り上げ、大きく発展させた店が「純連」、そして「すみれ」です。
昭和39年(1964年)に一人の女性主人が開いたラーメン店は「純連」と書いて「すみれ」と読ませる印象的な店名でした。
その後、閉店〜再開を経る中で店名の読み方を「じゅんれん」として長男が継承し、さらに三男も別店舗の「純連(後にすみれに改称)」を開店、札幌に「純連」と「すみれ」が共存することになったのです。
そしてこの両店で修行して独立する店が人気店となり「彩未」や「狼スープ・空・千寿・らーめん庵」など、今では「純すみ系」と呼ばれる札幌ラーメン界の一大勢力になっています。
「純連」「すみれ」のラーメンの特徴は何といってもスープを覆う「ラードの膜」でしょう。この油膜がスープにコクを与えながらその熱々さをキープするという役目を果たしてくれます。まさに極寒の札幌ならではのアイデアといえます。
「純連」と「すみれ」は札幌でそれぞれの店を展開していますが、現在は完全に別経営となっており姉妹店の関係ではありません。それだけに両者独自の味の違いを食べ比べてみるのも、札幌ラーメンの楽しみ方のひとつといえるでしょう。
第2世代のラーメンたち
「札幌=味噌ラーメン」という図式が確立した後にも、札幌のラーメンは広がり続け、1990年代から2000年代にかけて「札幌ラーメン第2世代」ともいえる “多様化” を見せ始めます。
独自の醤油ラーメンを極めた「てつや」などに加え、純連・すみれから独立してその味を独自に発展させた「純・すみ系」の店たちも第2世代に分類されるでしょう。
多様化を示すその他の一例が、“札幌への旭川ラーメンの進出” です。
「ななし」「むら山」など、旭川伝統の醤油ラーメン(メニューは「正油」表記が多い)を食べさせてくれる店が増え、現地に行かずとも本場の味を楽しめるようになりました。
札幌出身ながらそのインスパイアを感じさせる「一徹」などもこの時代に開店しています。
旭川伝統の醤油味以外にも、豚骨+塩味で攻めた「五丈源(ごじょうげん)」や「山頭火(さんとうか)」、旭川味噌ラーメンの元祖とされる「よし乃」などが札幌に出店し、旭川のラーメン文化が札幌でも花開いていきます。
今や第3世代
2000年代に入ると背脂豚骨のスープで人気を集めた「山嵐」、煮干しスープを極めた「侘助」や「木曜日」、独自の塩ラーメンを極めた「麺屋 菜々兵衛(ななべえ)」、つけ麺で人気の「麺屋 高橋」などが登場し、もはや “第3世代” といえる様相を呈しています。
さらにラーメンという大衆的な食べ物を誰もが楽しめるように「ワンコイン」にこだわる「ふくや」や「赤星」のような店がある一方、「信月」や「MEN-EIJI HIRAGISHI BASE」などミシュランガイド北海道で「ビブグルマン」を獲得するような店も登場しました。
現在の札幌では “伝統” の第1世代から “革新的” な第3世代までのラーメン店が群雄割拠する様は、まさに「ラーメン王国」と呼ぶにふさわしいといえるでしょう。
※ 文中の第1〜3世代の分類は、あくまで筆者の主観的なものです。
おすすめラーメン店紹介
ここでは記事内で取り上げたラーメンの特徴ごとに
「元祖」
「シンプル(支那そば系)」
「純すみ系」
「旭川系」
「ワンコイン」
「ミシュランB G(ビブグルマン)獲得店」
に分類して、それぞれのおすすめラーメン店を簡単にご紹介します。
興味のある店は、サツメシの紹介記事のリンクを表記しますので、ぜひ参考にしてください。
(なお、ラーメン店の営業時間は「売り切れ次第終了」が多いのでご注意を)
・元祖系おすすめラーメン店
1.だるま軒:札幌ラーメンの元祖
第1世代からはやっぱり元祖「だるま軒」をご紹介しないわけにはいきません。
札幌ラーメンの原点となった「醤油ラーメン」はシンプルな味付けが魅力。
かつては贅沢品だった伊達巻を創業時から具として使い続けるところに元祖としてのこだわりと、何ともいえない郷愁を感じされてくれます。
・店名:だるま軒
・住所:札幌市中央区南3条東1丁目 新二条市場内
・電話番号:011-251-8224
・営業時間:11:00〜17:00
・定休日:木曜日
・アクセス:地下鉄大通駅 徒歩8分
2.味の三平:味噌ラーメンの元祖
味噌ラーメンの元祖である「味の三平」。最初の一口が少し薄めに感じるのは “味噌汁をヒントに”考案されたというこの店独特の味づくりです。食べ進めると味噌のコクがスープに回り込み、別の表情を見せ始めます。
この店が考案した“野菜炒め”を加えるような独特の調理法も、その後の札幌ラーメン界に大きな影響を与えました。まさに“元祖”といえるでしょう。
・店名:味の三平
・住所:札幌市中央区南1条西3丁目2 大丸セントラル 4F
・電話番号:011-231-0377
・営業時間:11:00〜18:00
・定休日:月・第2火曜日
・アクセス:地下鉄大通駅 徒歩5分
・シンプル(支那そば系)おすすめラーメン店
3.ゆりや食堂:昭和の食堂で食べるラーメン
札幌ラーメンの創業期より食堂(蕎麦屋)としてラーメンも提供している老舗中の老舗店。
当時の札幌ラーメンの姿を今に偲ばせる懐かしいラーメンが食べられます。
2019年(令和元年)老朽化により新店舗に移転しましたが、その雰囲気をできるだけ残した店造りを行っています。
ラーメン以外の「そば」や「オムライス」「カレーライス」などの蕎麦屋・食堂メニューも楽しめます。
・店名:ゆりや食堂
・住所:札幌市中央区南1条西19丁目 ドレイジャータワービル 1F
・電話番号:011-621-4911
・営業時間:11:00〜18:00(土曜日は〜16:00)
・定休日:日・祝日
・アクセス:地下鉄東西線18丁目駅 徒歩3分
4.三角山五右衛門:屋台のしょうゆラーメンを継承
看板に「屋台のしょうゆ味」と掲げるように、オーソドックスでシンプルなラーメンが人気の店。狸小路の9丁目にある、映画のロケにも使われた味わいのある店構えです。
北海道ならではの鮭節を使った醤油味のスープが、シンプルな中にも深い味わいを演出しています。
・店名:三角山五右衛門
・住所:札幌市中央区南2条西9丁目998
・電話番号:011-261-9701
・営業時間:11:30〜15:00、18:00〜22:00
・定休日:元旦
・アクセス:地下鉄東西線西11丁目駅 徒歩5分
・純すみ系おすすめラーメン店
5.純連:純すみ系の本家本元
味の三平で考案された味噌ラーメンを札幌のご当地ラーメンとして広げた「純連・すみれ」。ラードを効果的に使ったそのラーメンは、札幌という土地の環境(寒冷)にマッチしたものでした。その後大きく広がりを見せている「純すみ系」の本家本元はこの店です。
・店名:さっぽろ純連 札幌店
・住所:札幌市豊平区平岸2条17丁目1-41 シャトー純連 1F
・電話番号:011-842-2844
・営業時間:11:00〜21:00
・定休日:無休
・アクセス:地下鉄南北線澄川駅 徒歩5分
6.千寿:純すみ系トップクラスの人気店
「純すみ系」を代表する人気の一軒が「千寿」です。
札幌の人気ラーメン店の多くが中心部を離れた郊外に店を構える中、ここ千寿は大通公園の(8丁目)側というとても便利な場所にあります。
人気の理由はそれだけではありません。一言でいえば“味噌らしい” 味噌ラーメン。そのコクのある味噌に生姜やニンニクのバランスが見事で、食べるものを虜にするからでしょう。
・店名:らあめん 千寿
・住所:札幌市中央区大通西8丁目2-39 北大通ビル B1F
・電話番号:011-281-1101
・営業時間:11:00〜18:30
・定休日:日曜日
・アクセス:地下鉄大通駅1番出口 徒歩5分
7.らーめん庵:純すみ系第2世代
純連、すみれで修行して独立、その伝統を受け継ぎながら自らの工夫を重ね、独自の味噌ラーメンを完成させた店は第2世代とも呼べるものでした。ここ「らーめん庵」もそんな一軒です。
麺は自家製、具材も厳選したものを全国から取り寄せるなど徹底したこだわりが「庵」のラーメンを際立ったものにしています。
・店名:らーめん庵
・住所:札幌市中央区南4条西16丁目2-20
・電話番号:011-512-5160
・営業時間:11:00〜15:30、17:00〜20:00
・定休日:月曜日
・アクセス:地下鉄東西線 西18丁目駅 徒歩7分
・旭川系おすすめラーメン店
8.ななし:本格的旭川ラーメンを食べられる
旭川のラーメンといえば “ダブルスープの醤油味”、そして “低加水の麺”。このラーメン造りの王道を札幌にもたらした店が、琴似に店を構える「ななし」です。
ダブルスープにありがちな 脂のしつこさや魚臭さを感じさせない完成度の高さは本場旭川にもなかなか無いレベルといえるでしょう。
・店名:旭川ラーメン ななし
・住所:札幌市西区琴似1条1丁目6-16
・電話番号:011-611-8336
・営業時間:11:30〜15:00、17:00〜21:00(土日は通し)
・定休日:水曜日(祝日営業・翌日休)
・アクセス:JR琴似駅 徒歩1分
9.旭川ら〜めん むら山:旭川の名店を正統継承
旭川で屈指の人気店「天金」。その本店で店長を務めた方が札幌で「むら山」を開店しました。看板には「旭川ら〜めん」の文字、その誇りが窺い知れます。
旭川醤油(正油)」ラーメン発祥のきっかけともなった「キッコーニホン(日本醤油工業)」の醤油にこだわった伝統のご当地ラーメンです。
・店名:旭川ら〜めん むら山
・住所:札幌市中央区南6条西17丁目2-3
・電話番号:011-552-8888
・営業時間:11:00〜21:00
・定休日:木曜日
・アクセス:地下鉄東西線西18丁目駅 徒歩8分
10.永坊:旭川テイストの特製ラーメン
円山の裏参道近くにある「永坊(えいぼう)」は「塩」と「正油」2種類のラーメンにこだわります。札幌にあって「味噌」は作らないという珍しい一軒です。
その味は旭川ラーメンテイストを感じさせる “ダブルスープ”で、麺も旭川風の歯切れが良いもの。
限定メニューの「親父の醤油」はさらに旭川の “醤油” を色濃く感じさせる味作りになっています。
・店名:永坊
・住所:札幌市中央区南2条西24丁目2-1 裏参道24
・電話番号:011-611-2002
・営業時間:11:30〜21:00
・定休日:木曜日
・アクセス:地下鉄東西線円山公園駅 徒歩5分
11.一徹:麺もスープも旭川を感じさせるラーメン
もし旭川ラーメンが好みなら札幌で「一徹」の正油ラーメンを食べてみてください。味噌ラーメンのような見た目ながらコクのある醤油味のスープ、それをしっかり吸ってくれる低加水の麺。旭川発のラーメンではありませんが、その特徴を感じさせる一杯に仕上がっています。そしてこのラーメンは同じ場所にあった伝説の名店「富公」のインスパイアでもあります。
・店名:一徹
・住所:札幌市中央区南3条西7丁目3
・電話番号:011-221-1451
・営業時間:11:30〜14:00、17:00〜LO.19:40
・定休日:日・月曜日
・アクセス:地下鉄大通駅 徒歩8分
・ワンコインのおすすめラーメン店
12.ふくや:旭川系昭和のラーメン
「そもそもラーメンはシンプルな食べ物」という考えから、税込500円という値段にこだわる店が「ふくや」です。「昭和のラーメン」というショルダーネームを掲げ、シンプルながら味わい深いラーメンを日々提供しています。
しかし値段だけが人気の理由ではありません。この店のご主人は旭川ラーメンの名店「ななし」を立ち上げた腕利きのラーメン職人なのです。
・店名:昭和ラーメン ふくや
・住所:札幌市西区二十四軒3条4丁目2-2
・電話番号:011-622-2810
・営業時間:11:00〜20:00(売り切れ終了)
・定休日:水曜日
・アクセス:地下鉄東西線二十四軒駅 徒歩4分
13.赤星:ハイコスパな一杯
近年、高価格なラーメンが登場する一方で、ラーメンの本質を追求し、低価格で提供する「ワンコイン」ラーメンの動きがあります。
その元祖の一軒が狸小路7丁目にある「赤星」。
税込500円という正真正銘のワンコインながら、その作りは手抜きのない本格的なもの。
“ラーメンとはかくあるべき”と感じさせてくれる店です。
・店名:らーめん サッポロ赤星
・住所:札幌市中央区南3条西7丁目7
・電話番号:011-272-2065
・営業時間:11:00〜22:00
・定休日:無休
・アクセス:地下鉄大通駅 徒歩8分
・ミシュランBG獲得のおすすめラーメン店
14.信月:すすきので締めのラーメン
札幌でお酒を楽しんだ後に心惹かれる “締め” のラーメン。そんな一杯を求めて深夜に行列ができる店が「信月」です。
人気は「しょうがラーメンしお」。札幌で一般的なラードによる保温に替えて、生姜を使ったポカポカ効果がすすきのの夜を締めてくれます。
・店名:ラーメン 信月
・住所:札幌市中央区南5条西3丁目 Nグランデビル 1F
・電話番号:011-533-4844
・営業時間:12:00〜翌5:00
・定休日:日曜日(休日営業・翌日休)
・アクセス:地下鉄南北線すすきの駅 徒歩2分
15.MEN-EIJI HIRAGISHI BASE:新世代の代表
現在の札幌ラーメンは過去の枠を大きく飛び越え、新たな時代に突入しています。
その旗頭ともいえる店が「MEN-EIJI HIRAGISHI BASE」です。
製麺業者から麺を仕入れるのが常識だったラーメン店。しかしこの店は自家製麺、それも数種類の麺を使い分けて提供するというこだわりによって新しいラーメンを作り上げました。
・店名:MEN-EIJI HIRAGISHI BASE(メンエイジ)
・住所:札幌市豊平区平岸2条11丁目1-12
・電話番号:011-813-7233
・営業時間:11:00〜14:45、17:00〜19:30
・定休日:水曜日(月一回不定休あり)
・アクセス:地下鉄南北線南平岸駅 徒歩5分
札幌で好みのラーメン店を見つけよう
札幌ラーメンの歴史とおすすめの人気ラーメン店をご紹介しました。
最初はこの中から店を選んで食べに行ってみてください。
何軒かのラーメンを食べ、記事内の豆知識を活用すれば、きっとお好みの店を見つけられるようになるでしょう。